【第6回】
福島第一原発から20.5ｋｍの会社が、
どうやって「2ヵ月間売上ゼロ」から
「過去最高売上」になったのか？

【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる！―ガラリと生まれ変わった業種別30社の秘密―

2014.10.21 0:02

小山昇

[株式会社武蔵野代表取締役社長]

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を9年かけて卒業。
「大卒は2人だけ、赤字続きだった武蔵野」を18年連続増収の優良企業に育てる。
2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。
2017年にはJR新宿ミライナタワーにもセミナールームをオープンさせた。
現在、750社超の会員企業を指導。5社に1社が過去最高益、倒産企業ゼロとなっているほか、
「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。
1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円(当時)の現場研修プログラム(＝1日36万円の「かばん持ち」)が話題となり、現在70人・1年3か月待ちの人気となっている。
今回、これまで一切封印されてきた、武蔵野史上最高額のセミナー「実践経営塾箱根プレミアム合宿」のノウハウを『門外不出の経営ノート』で初めて公開した。
『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『1日36万円のかばん持ち』『残業ゼロがすべてを解決する』『数字は人格』『お金は愛』(以上、ダイヤモンド社)、『会社を絶対に潰さない社長の「金言」100』(プレジデント社)、『改訂3版仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
株式会社武蔵野

【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる！―ガラリと生まれ変わった業種別30社の秘密―

指導500社中100社が「過去最高益」！日本初「日本経営品質賞」二度受賞! 12年連続増収増益の秘密は、「朝一番の掃除」（＝環境整備）にあった。“経営のカリスマ”小山昇が「朝一番の掃除」で、ガラリと生まれ変わった業種別30社の秘密の一部を公開！＜指導前＞ ⇒ ＜指導後＞ ◆3億円の「赤字」 ⇒ 3億円の「黒字」（建設） ◆12億円の在庫 ⇒ 在庫40％減！売上40％増（卸売） ◆2か月間売上ゼロ ⇒ 売上3倍（物流）

バックナンバー一覧

「環境整備7つのメリット」とは？

……小山さんの武蔵野も、社長と社員の価値観がそろっていますよね。

小山 強い会社をつくるには、社長と社員の価値観をそろえることが大切です。わが社には、大卒も、中卒に近い高卒も、中卒に毛が生えた元暴走族もいます。そのすべての社員が、一人も欠けることなく同じ方向に動くことができるのは、全員の価値観がそろっているからです。トップの私が「右を向け」と命じれば、ただちに、全員が右を向く。そして社員は、命じられたことに疑問を挟まず、即座に実行します。ただ、これはワンマン経営とは違います。むしろ今の武蔵野は、相当ボトムアップの会社です。日本で初めて2度目の『日本経営品質賞』を受賞（2000年度、2010年度）した理由はトップダウンからボトムアップに変わった点が評価されてのもの。武蔵野の強さの根源は、環境整備にあります。「環境整備7つのメリット」としては、

（1）社員と社長の価値観がそろう。
（2）「やってはいけない仕事」が一目でわかる。
（3）小さく弱い会社こそ、強力な武器になる。
（4）無駄な残業がゼロになる。
（5）女性パート・アルバイト、契約社員が一番の戦力になる。
（6）在庫が激減し、資金繰りが劇的に改善する。
（7）社内がキレイになり、従業員が急成長する。

があげられますが、社長の価値観を全社員が共有しているからこそ、武蔵野は強い。社長と社員の価値観がバラバラで、各自が好き勝手にやっていると、業績は決してよくなりません。そして、価値観を共有するために最も効率的なのが、毎朝30分、全社員に掃除をさせていること、つまり、「環境整備」なのです。

島環境整備は「物」「情報」「考え方」すべてに応用できます。形をそろえるのも環境整備ですし、対話しているその人を通して次がうまくいくように話すのも環境整備ですし、社員との価値観をそろえるのも環境整備です。今回の震災を通して、環境整備を徹底すると、価値観がそろうと実感しました。価値観がそろえば、同じ優先順位で行動できるので、組織が早く動きます。環境整備は、同じ方向を向くための原理原則ですね。

震災2年で「過去最高売上」の理由

……震災後、シマ商会の売上はどのように推移していますか？

島震災の前年に77億円あった売上は、震災直後から落ち込み、その年の売上は63億円。マイナス3億円の経常損失を出しています。ところが、2013年決算で、過去最高売上90億円を達成しました。

小山 100億円企業になるのも時間の問題でしょう。シマ商会の社員は、ここ数年で、数字に対する意識が高くなっています。社内アンケート結果によると、社員の95％が、「目標、数字が明確である」という項目に「ＹＥＳ」と答えています。これほど目標達成意識の高い会社はめずらしいですね。目標が明確になっていれば、社員はその目標に向かって、能動的に行動することができます。

島環境整備によって、考え方の整理・整頓までできるようになれば、仕事の役割分担まで、環境整備ができるようになるのではないでしょうか。「ここからここまでは自分の仕事である」ことを自覚することで、その仕事に対する責任感や自立心が芽生えてくると思うんです。仕事の中に環境整備があるのではなく、環境整備の上に仕事が乗っている、そんな気がします。今回の震災は1000年に一度と言われていますが、この先、1万年に一度の震災がやってきても、私たちは決して屈しないと思いますね。

小山震災で大地は揺れ動いても、シマ商会の社員の心は決して揺るがなかった。なぜなら、環境整備が、組織の土台を強固にしていたからですね。

【朝一番の掃除=環境整備のポイント】
環境整備（朝一番の掃除）に取り組むと、社長と社員の価値観がそろう。
だから、不測の事態が起きたときでも組織がバラバラにならず、ひとつの方向に動くことができる。

＜著者プロフィール＞
小山昇（こやま・のぼる）
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年生まれ。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を優良企業に育て、「12年連続増収増益」を達成。日本で初めて、「日本経営品質賞」を二度受賞（2000年度、2010年度）。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開し、業種横断的に500社以上の会員企業を指導。指導企業のうち、「5社に1社は過去最高益」「13年連続倒産企業ゼロ」を達成。
2004年から「1日30万円のかばん持ち」制度を創設。小山昇のかばん持ちをすることで、現場で体感する経営者を日々育成中。現在、約70社・1年半待ちの人気ぶり。
そのほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開催。現場の叡智が詰まった内容は、全国各地から「今日から仕事に役立つ」と現場見学会参加者があとをたたない。机上の空論は一切なし！実務中心の内容が口コミを呼んでいる。おもな著書に、『強い会社の教科書』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』（以上、ダイヤモンド社）、『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』（あさ出版）、『増補改訂版仕事ができる人の心得』（阪急コミュニケーションズ）など多数。