今の状況を変えるには、42年前の政治声明に立ち戻って、日本の32代の総理、中国の十数名の指導者たちが努力してきたことを、お互いに守りましょう。その確認のために、会談しましょう。それで良いと思います。先人たちの努力に敬意を表して、両国民の幸せのために、会うんです。政治声明を確認し、両首脳が改めて合意する。これが首脳会談の目的です。

 歴史認識問題と尖閣諸島問題を解決するためではない。解決なんて、できないんだから。日中首脳会談を行うための方法は、ただひとつしかないんです。他にあるなら聞きたいですね。

――日中関係の専門家の方々にお話を伺うと、現在の日中関係にはそれぞれ両国の内政問題が深く関わっていると指摘されることが多いです。中国で言えば、共産党内の権力闘争や経済の成長率低下の問題、貧富の格差などの社会の問題が……。

 いやいや、そんなことを言って議論したってしょうがないことでしょう。政治状況というのは憶測でしかない。日本側が「習近平さん大変ですね。日本と話し合っている時間はなさそうですね」なんて、日本側が考える話ではない。

 それと同様で、中国側が「安倍さん、あなたも国内でたくさん問題を抱えていて大変ですね。だから、中国との関係を考える時間もなさそうですね」なんて、慮る話でもない。

 そういうことではなくて、両国は一触即発な状態なわけです。人間は愚かな動物です。突然、変なことを考える人が出てくるかもしれません。両国間で「領土主権を尊重する」、「武器を使わない」、こういうことを確認するんです。

「武器は使わないですね?」「そうですね、武器は使いません」と確認することが大事なんです。もちろん、これで問題がすべて解決するわけではありません。でも、それでも話し合いを続けましょうということです。

歴史認識は海を越えた
日本だけの“認識”ではない

――靖国参拝問題については、どのように処理すべきなのでしょうか。

 安倍首相が「もう参拝しません」なんて言うわけがない。譲歩することもないでしょう。でも、それじゃあ中国が会わないということであれば、もう会えないということですよ。覚悟するんだね。

 でも、両国首脳はお互いに譲歩することなくて、気分はいいかもしれないけど、国民にとっちゃあ、迷惑な話だよ。経済界だって迷惑を被る。両国の首脳に、そこまでの権限はありませんよ。

 戦後、天皇陛下は靖国神社に7回参拝している。しかし、1978年にA級戦犯が合祀されてからは、参拝はされていない。理由はわかりません。ただ、78年以来、参拝はされていないんです。