魅惑の市場か大蔵人脈か

 ただ、「横浜がこれで終わるとは思えない」という危機感は関東地銀の間で醸成されている。そして、横浜銀が次に秋波を送ると目されるのが、埼玉県の肥沃な地盤を持つ武蔵野銀行だ。加藤喜久雄頭取は地銀界唯一の高卒トップにして、やり手の誉れ高いたたき上げ。しかも、埼玉は誰もがうらやむ市場だ。口説き落とすには相応の見返りが必要となるだろう。

 また、今回と同じく頭取が大蔵OBであるという流れで、群馬の第二地銀である東和銀行の名前も挙がる。埼玉県にも店舗網を持つ点も判断材料とされ、現に関東地銀の元幹部は「業域拡大のために買収の検討をしていた」と明かす。

 東和銀はかつて、東日本銀を含む3行とシステム提携していたが離脱。01年に独自システムの稼働を開始した。その裏には「システムが同じだと将来、東日本銀との合併に追いやられる懸念があった」(第二地銀幹部)と語られる。

「(吉永國光)頭取からは再編に動くそぶりは感じられない」(東和銀幹部)と周囲は見るが、当時とトップも環境も変わり、横浜銀の名前も加わった中で過去と異なる判断に傾く可能性は否定できない。

 一方、他の関東地銀としては座して死を待つのは愚の骨頂だ。「しがらみやプライドにとらわれず、横浜よりも先にインパクトの大きな一手を打てるかで10年後の未来が大きく変わる」(前出の第二地銀幹部)。関東地銀の経営者たちは、大局的な観点に立った経営判断の必要に、かつてないほど迫られている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)