首都圏の中古マンションを対象に騰落率を算出したところ、ベスト70の6割が20階建て以上のタワーマンションだった。タワー人気は今後も続くのか。実用ライフスタイル誌「ダイヤモンドQ」編集部が、市場動向を探った。

 ここにきて新築マンション、中古マンション共に急ピッチで価格が上昇している。ただし、賃料はほとんど上がっておらず、首都圏におけるマンション投資の表面利回りはおおむね4~5%程度に低下している。

 価格上昇を支えているのは相続税の節税ニーズと海外富裕層だ。不動産ビッグデータを用いた市場分析で定評がある沖有人・スタイルアクト代表取締役は、「節税効果が高く資産価値も維持しやすい東京都心のタワーマンションが人気」と語る。

 実は金融資産をタワーマンションに替えると、相続税評価額を大きく下げることができる。

 土地建物の相続税評価額はもともと時価より低い。しかもタワーマンションの場合、最上階と一階で価格(単価)が2~3割以上違うこともあるが、相続税評価額では差はなく、上層階を購入すれば相続税評価額をさらに圧縮できる。賃貸に出すことでの評価減もある。「金融資産のままに比べ、相続税評価額を80%程度下げることが可能だ」(沖氏)。

 この節税スキームを利用できる資産家は多少、割高にマンションを買っても損をしないので、マンション投資が過熱しているのだ。