今年8月からソニーが不動産事業の営業を開始した。従来の商慣習に一石を投じる新たな事業モデルについて聞いた。
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――ソニーが不動産事業に参入した経緯について教えて下さい。
私はソニーでプレジデントスタッフとして、エレクトロニクス事業の改革や事業戦略の策定などを行なっていました。
昨年4月頃、平井(一夫・ソニー社長)から「ソニーだからこそできる“感動価値”を与える事業を考えるように」と言われ、それから約半年かけて、今の事業モデルを練り上げました。
ソニーが不動産というと違和感を持つ人もいるかもしれません。しかし、私自身、親族の不動産管理や売買を手伝ったり、不動産投資を行うなど、不動産取引にかかわる機会は人並み以上にありました。この消費者体験を通じて、日本における不動産取引に疑問を感じました。
一方、様々な業種の成長著しい企業の経営モデルを勉強する中で、それらの企業に共通しているのは「時代の流れに合わせながら新たなやり方を導入して顧客満足度をあげること」であると知りました。
不動産業界に新しいルールを持ち込むことで、他にはないソニーらしい不動産のビジネスモデルができるのではないかと思ったのです。
ソニーにはソニー銀行、ソニー生命、ソニー損害保険、ソニー・ミュージックエンタテインメントなどのグループ企業がありますが、それらはいずれも既存の領域にグローバルでフェアなルールを入れることで、顧客価値や感動価値という新しい価値を生み出してきました。それこそがソニーに脈々と流れるソニースピリットです。