「明けましておめでとうございます」。いつものように新しい一年がまたあわただしくスタートした。しかし、昨年年末に体験したいくつの出来事の余韻はまだいくらか残っている。その一つは東京都江東区亀戸の中央商店街でのショッピングだった。
今年で来日30年になるが、おせち料理を作る習慣はわが家ではいまだにない。かと言ってお正月を迎えるためには、わが家でも新年らしい上海スタイルの家庭料理を作る。そのための食材の購入を妻から指示された。
例年だと、こうした中華料理ならではの食材はいつも上野駅の近くにあるアメ横に行って調達するのだが、今年は妻から亀戸の中央商店街でも入手できると言われた。わが家は錦糸町駅の近くにあるので、亀戸と言えば、一駅の距離だ。しかし、私が行ったことがないから、見当がつかなかった。それで、妻と一緒に行くことにした。
懐かしいにおいが漂う
一歩、亀戸中央商店街に踏み入れると、その雑踏な空気の中に、なにか懐かしいにおいが漂っていることにすぐに気付いた。そう長くはない亀戸中央商店街の中心に中国人が経営している八百屋、点心の店などがいくつかある。
点心を売り物にしている店を覗いてみると、肉まん、葱油餅やその他の北方系のスナック類が販売されている。10代後半、黒竜江省の農村に強制移住させられた経験をもっているだけに、強烈な郷愁に襲われた。新年の食糧準備として葱油餅などを数個持ち帰りにした。
もうすこし進むと、今度は八百屋だ。八百屋だが魚も扱っている。いろいろな魚を店の前にあるテーブルに並べて販売しているが、一番目立つところには、太刀魚が置いてある。太刀魚は新鮮さと大きさによって、1000円で5本か2本で販売されている。日本では腐っても鯛といった表現で親しまれている鯛は置いていなかったかわりに、鯉とフナが大きな盥(たらい)において販売されている。