「飯田深雪は年を取りません」とまで書いた娘の飯田倫子の話では「母は70代くらいまでは決して丈夫な方ではありませんでした」という。しかし「80を過ぎた頃から年々元気に」なったという。その理由として「心のままに生きようと思ったのか」と推察している。

 美しいもの、おいしいものを創り出す原点には苦しさがあった。

「結婚して外国に行かなかったら、戦争ですべてを失わなかったら、今の私はありません。神様は『苦しみ』にはお遭わせになりましたが、それは『耐え得ざる苦しみ』ではありませんでした。そして、『必ず』逃れる道を備え給えりだったのです」

 娘の倫子は本人よりも先に亡くなる。彼女はその時、それでも神は越えられない試練を与えないはずだから、という趣旨の文章を書き綴っている。娘の死から5年後、飯田深雪は104歳でこの世を去った。創る喜びともてなす喜びに満ちた人生だった。

※参考文献・資料/
『喜ばれて喜んで96歳』飯田深雪著、「料理の回数が多いと長生きできる」
台湾調査 http://www.dm-net.co.jp/calendar/2012/017961.php