襲撃を行った二人組はシェリフとサイードのクアシ兄弟で、逃走に使われた車両に置き忘れたとされる身分証明書から、身元が判明したと地元警察は発表している。シェリフ容疑者は2005年にイラク国内のジハード組織に加わる目的でシリアに向かおうとしたところをフランス当局によって拘束され、2006年10月まで収監されていた。事件現場の目撃者が「襲撃犯は2、3人いる」と証言したため、3人目の容疑者としてシェリフ容疑者の義理の弟となる18歳の高校生の名前が浮上したが、事件発生当時、この少年は高校で授業を受けており、7日夜に自ら警察に出頭。警察も「誤ってテロリストの一人として発表してしまった」と釈明し、9日に少年を釈放している。

 何度か車を変えて逃走を続けたクアシ兄弟は、シャルル・ド・ゴール国際空港の近くにある印刷工場に侵入。中にいたオーナーを人質に取り、約9時間にわたって籠城を続けたが、9日の午後5時頃に爆発音が三度周辺に響き渡った。それとともに警察の特殊部隊が印刷工場に突入。クアシ兄弟は射殺され、人質は無傷で救出された。

 クアシ兄弟が射殺される少し前、同じく9日の13時頃、パリ市内にあるユダヤ系のスーパーマーケットを、アサルトライフルで武装したセネガル移民のアメディ・クリバリ容疑者が襲撃。4人を殺害し、店内で籠城を開始した。クリバリ容疑者はその日の17時過ぎに警察によって射殺された。8日にはパリ郊外で女性警察官が射殺される事件が発生しているが、クリバリ容疑者による犯行との見方が強い。警察官射殺事件やスーパー襲撃事件とシャルリ・エブド市襲撃事件との関連性は不明だが、過去に強盗や麻薬密売の罪で逮捕・服役していたクリバリ容疑者が2005年頃に刑務所の中でシェリフ・クアシ容疑者と知り合い、その後連絡を取り合う関係だったことが仏メディアの報道によって判明している。

 クリバリ容疑者は26歳のアヤト・ブメディエン容疑者と事実婚状態にあり、警察当局はブメディエン容疑者の行方を追っているが、すでにフランスを離れてトルコに入国した模様で、トルコからシリアに入った可能性を仏メディアは指摘している。7日から9日の間に、パリ周辺では容疑者を含む20人が死亡した。

フランス全土で370万人がデモに参加
W杯優勝時を超えたパリのデモ参加者

 事件後、パリ市内の雰囲気は大きく変わってしまった。現在のパリの様子を、パリ郊外で10年以上暮らす日本人女性が語る。

「金曜日のユダヤ系スーパーへの立てこもりの際には、パリのユダヤ人地区などでは、お店も早々に閉店するなどの様子が見られました。犯人が射殺され、一旦とりあえず収まってはいますが、まだまだ緊張状態が続いています。市民は落ち着かない状況です。警察官の姿があちこちにまだ見られ、多くの人が出入りする場所では、必ず荷物チェックを要求されます」