地方税滞納議員が5人も明るみに
公人の税滞納という言語道断

 こうした紆余曲折を経て、2014年12月に新たな100条委員会が市議会に設置されたのである。今回は情報漏えいではなく、議員に対する市の徴収業務の実態を究明することがテーマとなった。

 100条委員会のこれまでの調査で、様々な事実が明らかになった。2006年から2011年の間に地方税を過年度にわたって滞納していた議員は、5人に上っていた。滞納額の最も多い議員は、百万円単位の額にまで達しているという。

 こうした滞納議員らに菊池市側が特別な対応をとっていたことも、明らかになった。担当職員ではなく、課長自らが対応し、議員の自宅などにしばしば足を運んでいた。時効を中断する誓約書を取らず、しかも議員報酬(年額約500万円)を差し押さえることもしなかった。なかには滞納議員の家族から議員報酬の差し押さえを要請されながら、実行していないケースまであった。彼らが滞納した本税の不納欠損処理はないが、延滞金を徴収しないまま時効にしてしまったケースがあった。つまり、市側は議員から税金をとれるのにとらなかったのである。

 本来、議員報酬をもらっている公人の税滞納はあり得ない。議員報酬は生活給ではなく、しかも原資は税金である。議員の税滞納が発生したら、真っ先に差し押さえるべきものである。菊池市はなぜ、毅然とした姿勢をとらずに不作為を続けてきたのか。議員という役職に配慮して遠慮したのだろうか。それとも何らかの思惑や打算があったのだろうか。ことの真相の解明が待たれる。

 ところで、税をめぐる地方議員の疑惑は各地でよく耳にする。しかし、疑惑のままで解明されずにいるのがほとんどだ。納税情報は個人情報だとして、公人であっても開示されないからだ。菊池市や土庄町だけが特殊なのではないと見るべきだ。むしろ、闇のべールで覆い隠されて実態が見えなくなっているだけだと、考えるべきだ。

 長年の膿を出し切ろうと努力している菊池市議会の現在の100条委員会に対し、周辺自治体の税務担当者らは熱い視線を送っているという。滞納議員の存在が担当職員の悩みの種となっているのは、どの自治体も同じなのではないか。真面目に納税している住民に余分な負担を押し付けて、首長や議員がのうのうと税のお目こぼしを受けるようなことがまかり通っていたら、日本は民主国家、法治国家の看板を下ろさざるを得ない。