「英文学で最も有名な生徒は誰か? ハリー・ポッターだ。彼の最初のガールフレンドは誰か? 最初にキスした相手は誰か? 中国人だ」

 ボリス・ジョンソン・ロンドン市長が2013年秋に北京大学を訪れた際、彼はそう言って北京の人々に愛嬌を振りまいた。そして、同行したジョージ・オズボーン英財務大臣は「(デービッド・)キャメロン首相はもうダライ・ラマには会わない」と断言して、ロンドンのオフショア(海外)人民元市場の相談を中国政府と進めた。

 さらに今年3月12日、中国主導で準備を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーに英国は参加すると表明した。

中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行。写真は昨年10月に北京で行われた設立に向けた覚書の署名式。代表撮影/REUTERS/アフロ

 そのとき、米政府高官は「中国へ常にへつらう傾向があるのが懸念される」と怒りをあらわにしたが、英政府には馬耳東風だった。前述の通り英国は中国へ熱烈なラブコールを送り続けている。

 キャメロン首相は2月23日、中国の春節を祝うため、首相官邸に中国大使館や中国企業の関係者を招いた。このパーティは近年では毎年開催されている。彼は次のようにあいさつした。「最初に祝いたいのは、現代中国の異例ともいえる台頭と成功である。中国は再び世界最大の経済になった(購買力平価ベース)。あなた方の投資を最も歓迎する国にわれわれはなりたい」。

 また、英政府は昨年から上海市に数学教育の指導を仰ぐようになった。経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に行った学力調査の数学で、上海は世界1位の600点を取った。英国は492点と先進国では低い点数だった。

 そこで英政府は数学教師の交換留学を提案した。まず、昨年9月に71人の英国人教師が上海を訪れて中国の数学教育を学んだ。11月には29人の中国人教師が英国に約1カ月滞在し、小学校で教え方の「模範」を示した。今年2月には上海の教師が中国の教科書を持ち込んで授業を行った。教師の交換留学は今後も続く。