中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーの募集が3月31日をもって締め切られた。募集の結果は48ヵ国・地域が加入を申し込んだ。アメリカに追随し、中国の孤立を予測し期待していた日本は逆に孤立した立場に追い込まれた。この誤算を指摘する日本のメディアの報道も多い。一部を拾ってみよう。

「日本の対処後手に」「英の参加誤算」「(日本の対応は)お粗末だった」「米国主導の従来の国際秩序を弱体化させることにつながる」「米国の孤立感は深まる」など。

 さらに、AIIB加入にたいする姿勢の対立も見られた。「米国とこじれると何をされるか分からない。それは避けたい」と内心を明かす財務省は、米国の意志に反してまで、日米で主導するアジア開発銀行(ADB)のライバルのもとに走る選択肢はそもそも取りえなかったと言われている。

 一方、経済界からは、「インフラビジネスが不利になること」を心配しているという声が上がっている。

日本は超甘すぎる観測で
世界の流れを読み違えた

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 イギリスが率先してAIIB加入に走ったことが、政治的雪崩のきっかけを作ったとすれば、北欧からもフィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどの国が次々と名乗りを上げ、ついに台湾までも申請することを発表し、国連安保理5ヵ国のうち、アメリカを除いて全員が参加することになった。この重い事実と、参加する国はそうはなく、中国は孤立に苦しむだろうという日本の超甘い観測との間には、あまりにも大きすぎた落差がある。

 AIIB加入に走った国々と、加入をかたくなに断っている日米のどちらの主張や着眼点が正しいのかは、ここでは問題にしない。私が逆に疑問に思ったのは、なぜ日本がここまで流れを読み間違えたのか、ということだ。

 時事通信社が発行する「時事速報」という会員向けのメディアがある。最近号に、私は次のようなことを書いた。