何気なく買ってしまうその1本で1日の砂糖摂取量を上回ってしまうことも

 世界保健機関(WHO)は3月、虫歯や肥満を予防するための砂糖摂取量に関する新ガイドラインを発表した。1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合は10%未満に抑えるべきで、5%未満ならなおよいとのことだ。

 5%とは平均的な成人なら砂糖約25グラムに相当する。ティースプーンで約6杯分だ。炭酸飲料1缶に含まれる砂糖は約40グラムというから、休憩時間のちょっと一本でWHOの基準を超えてしまうことになる。

 マヨネーズ、ソース、ケチャップといった調味料にも砂糖は使われているし、一般に健康によいとされる和食にも砂糖は欠かせない。さまざまな食材や料理に含まれる「隠れた砂糖」を勘定に入れるなら、現代の食生活でWHOのガイドラインにならうのは難しい。実際、ポルトガルのように砂糖摂取量が総カロリーの25%におよぶ国もあるのだ。

砂糖は虫歯、肥満、糖尿病の
直接的な原因とは言い切れないけれど…

 だからこその「ガイドライン」なのだろうが、なぜ5%なのかその根拠がわかりやすく提示されていない。「砂糖の摂取量が多いので高めのハードルを設置しました」というメッセージしか読みとれないのだ。厚生労働省も「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で、当時は総カロリーの10%だったWHOの基準について「日本人において数値を算定できるほど十分な科学的根拠は得られていない」としている。砂糖関連業界からの反発も強い。