書籍・アプリで20万部超の大ヒット作となった『適当日記』再び⁉
世代を超えて支持される適当の権化・高田純次。彼の代表作とも呼べる『適当日記』の新作短編が電子書籍として発売されました。今回は、なんとサブテーマが「紅白歌合戦出場」。とはいえ、相変わらずの適当節全開の日記を、特別に一部抜粋してご紹介いたします。

2014年
9月某日

 東海地方での視聴率100%のお化け番組「PS三世」はみんな知ってると思うけど、今日その収録終わりにサプライズが待ってたよ。

「高田純次紅白出場プロジェクト、楽曲決定!」

 なんだか曲作った人とか突然出てきちゃって、まわりもワイワイ言っちゃって。あれはほんとだね、人ってびっくりするとハトが豆鉄砲食らったみたいな顔しちゃうよね。ハトの表情なんて見たことないけど

 どうも、1月の「PS三世」の収録で、今年の目標が「紅白歌合戦出場!」になってたらしいのよ。そんなの覚えてるわけないって。昨日の夕飯さえ覚えてないのに。誰が覚えてたんだろうね。マネージャーもとぼけた顔してたし。

 っていうか、目標立てた回の視聴率どんなもんなんだよ。そのまんまやめちゃったって、誰も気にしないって。

 まあ、でも、曲作ってくれた、元なんとかってバンドのなんとかさんも真面目に作ってくれたらしいし、オレも大人だし、その場で「やらない」とは言えなかったよ。かわりに、そのなんとかさんと握手なんかして「待ってろNHK!」って言っておいたよ。その場の流れで。

 そのまま収録が終わったから、「お疲れ〜」って帰ろうとしたら、マネージャーが「このあと音合わせのためにリハーサルスタジオ行きます」だって。「えっ? 本気なの?」って聞いたら、その辺にいるスタッフも、うんうんうなずいちゃってるし。

(中略)

 オレを差し置いて、まわりで話ができあがってるっていうのが、オレが一番頭にくることなんだよね。しかもマネージャーにだけ話通してるって、オレ、高田純次の事務所の社長だぜ?

 あれ? もしかして社長代わったのかな?

 とにかく、ものすごく不機嫌なまんま移動のタクシー乗り込んで、どうやってこの話をなしにするか、何て言ってマネージャーに説教するか考えてたら、イヤフォン渡されて「この曲です」って。

高田純次『純愛』<br />――私が紅白歌合戦を目指すことになったわけ

 素晴らしすぎる。

 僕はこの曲に出会うために、今までのつらい汚れ仕事をしてきたんだな。

 これは間違いなく紅白、下手をすると大トリかもしれない。

 いやあ、これから歌も日記もがんばることにしました!

 皆さんよろしくお願いします。