高田純次『純愛』――私が紅白歌合戦を目指すことになったわけ

（中略）

9月某日

忘れてたけど、今日が「純愛」のレコーディングだったよ。

まあ、オレクラスになると、前日はしっかりお酒も抜いて、万全の態勢で臨んだけど。

いやー、無駄に伸びる美声がこんなに役立ったことはないよね。自分の声に反応して、いろんなとこが伸びちゃったよ。無駄に。

（中略）

そういえば、曲作ったなんとかくん、紅白出たことあるらしい！

うちのマネージャーと日記担当の編集者の飲み友達、ってしか聞いてなかったから、まず間違いなくチャランポランなインチキ音楽家かと思ってたよ。会ったときに「で、ゴーストさんはどこですか？」って言っちゃってごめんね。

まあでも、ゴーストさんも含めてよろしくお願いします！

毎日レコーディングがあるわけでもないし、書くことないよ。音楽活動以外も書いていいのかな？

おっと、「音楽活動」だって。この響きだけで何杯でも飲めそうだから飲みに行くことにしたよ。午前3時だけど。

行きつけのクラブに行って「音楽活動」について語ろうと思ったらもう閉まってて、往復のタクシーの運ちゃんに語って終わりだったよ。

（中略）

音楽活動って言っても、レコーディングしちゃったら特にやることないんだね。

ただ、「情報の解禁日というのがあるので、あまり具体的な内容は話さないでください」って言われたけど、遅すぎるよね。もう家のご近所、事務所のご近所、その他会った人全員に話しちゃったよ。

「紅白どころか、レコード大賞、ひょっとしたらグラミー賞も取れるんじゃないかなって曲、今度出すんで。もちろん、僕が作詞作曲した、究極のロックだよ」って。

そしたら、「ああ、それならいいです、これからも大丈夫です」だって。

オレも繊細な方だから、バカにされてるのは気づいたよ。