高田純次。65歳にして「適当男」の名を欲しいままにする彼を一番よく知る人物へのインタビューを敢行した。すべての現場に同行するマネージャー、小山徹氏である。32歳にして、10年以上高田純次の一番近くで仕事を見てきた小山氏に、マネージャーという仕事、高田純次の素顔、高田純次と仕事をするということなどについて語っていただいた。(取材:中鉢比呂也)
天才というより秀才
——本日はよろしくお願いします。
小山「はい。いや、でも僕でいいんですかね?」
——もちろんです。早速ですが、高田さんのマネージャーさんになられてどのくらいになりますか?
小山「今の会社に入ったのはもう14年ほど前になります。ずっと高田についていたわけではなく、間に別のタレントにも2年ほどついたりしていますが、それ以外はずっとなので、少なくとも10年以上ということになりますね」
——基本的なところからおうかがいします。マネージャーさんの仕事はどんなものでしょうか?
小山「事務所さんによっても、タレントさんによっても違うと思いますが、現場担当マネージャーの基本的な仕事は、スケジュール管理と現場での帯同です。若手タレントの場合は様々な媒体への営業もスケジュール管理に含まれると思いますが、高田の場合はいただいたお仕事をうまくブッキングしていくという感じです」
——CM出演数などを見ていても感じますが、相変わらず売れっ子ですし、断るのもマネージャーさんのお仕事なんですね。
小山「そうですね、ただ、仕事が殺到して断るというより、内容自体や担当の方が面白そうなものを吟味してというほうが近いかもしれません。高田も65歳なのであまり無理はさせられませんし(笑)」
——現場のマネージャーとしての気をつけていること、もしくは失敗してしまったことはありますか。ちなみに、私は高田さんとの初対面で粗相をしました。もちろん小山さんにも目撃されていましたが…。
小山「タレントさんに飲み物をかけないように、というのは気をつけてます(笑)。テレビ番組の場合、事前収録のものが多いのですが、まったく別の日に収録したものが同じ日・同じ時間帯にオンエアされてしまう場合があります。これはスケジュール管理という意味では基本中の基本なのですが、前任者から引き継いだ仕事と新規の仕事がかぶってしまったことがあって、それからはとにかくいっそう気をつけています」
——「高田純次」を一番近くで見ている小山さんから見て、高田さんはどんな人ですか?
小山「賢い、ですね。僕が言うのもあれなんですが。一応社長と社員の関係なので(笑)。人の考えていること、求めていること、とにかくいろいろなことを気にしています。天才というより秀才という気がします。昔は怖かった、という話を聞いたこともあります。仕事に対してシビアだったということだと思います。今は丸くなってきたんじゃないかなと。いい意味で力が抜けているというか、適当というか」
——いろいろなことを気にしてらっしゃるというのはすごくわかる気がします。担当させていただいた書籍『適当日記』のカバー撮影で自らご提案いただいたこともそうでしたし、発売されたばかりの『適当川柳』に掲載している写真の撮影の際にも、突然「レディー・ガガみたいにしよう」と言い出して、自分で紙を切ってマジックで塗って、目をたくさん作っていました。
小山「誰にもさせずに自分でチョキチョキ切ってましたね、本当に。サービス精神とひとことで言ってしまうこともできると思うのですが、それを超える何かがある気がします」