他社や自社を問わず、実際に目上の人の意見にNOと言うことは大変です。ある有名メーカーの経営企画部の人は「みんな日々の細かい業務に終われて、全体像で物事が考えられない。上司はみんな上ばかり見て、ペコペコしているので、スジの悪い案件にもNOが言えない」とぼやいていました。

 「ロジカルに考えてリスクがあることにNOを言うことは、プロフェッショナルの責任である」というのはまさにそのとおりですが、普通の企業に勤めている人で、上司にハッキリとNOを言える人はほとんどいないでしょう。この点については、能力というよりは覚悟の問題だと思います。

 プロフェッショナル・ファームでは「悪魔の弁護人になる」という行為のような、反対意見を言うことによって議論をより深めるということが奨励される雰囲気があります。しかし、これは私が知る限りは一般的な企業には当てはまりません。

 あなたがプロとしてNOを言うためには、2つの要素をきっちり述べる必要があります。1つ目は「ロジカルにこういうリスクがあるので、その意見には賛成できない」と言うこと。2つ目は「その意見に賛成できないのは、あなたや会社のために言っているのであって、自己保身のためではない」と言うことです。覚悟としては「自分はプロであり、NOを言うことによって、ここにいられなくなっても信念を曲げることはできない。そうなったら他に移ってバリューを出そう」と思えるかどうかです。職業選択の自由度が高いことはプロフェッショナルのよいところです。

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■プロフェッショナルはNOを言うことでも価値を出す
■プロフェッショナルは自己保身のためではなく、会社や関係者のためにNOを言う