ファンと共に価値を創る
マーケティング手法

 第一には、「早慶戦(慶早戦)」という、知名度が高く、かつ、高いロイヤルティを持つファンを多く抱えるコンテンツの自体の優良性が挙げられます。

 最近では、「アンバサダーマーケティング」「共創マーケティング」と呼ばれるような、コンテンツのファンを主軸にしたコミュニケーションの手法が注目されています。

 このアプローチは、普通に考えれば自身の周囲にしか影響力を持たない一般のファンの人々であっても、ソーシャルメディアなどを介して、数千人、数万人単位のファン組織ができれば、さらに多くの人に影響を与えることができる可能性に着目するものです。

 多様な立場のステークホルダーと対話しながら、新しい価値を生み出していく、「コ・クリエーション」(Co-Creation)という考え方に基づいたコミュニケーション手法です。

 今回のポスターが話題となり、広い範囲に拡散して行った背景には、コンテンツの持つ秀逸さに感銘を受けた、熱狂的なブランドアンバサダーたち、つまり、学生や大学関係者、とりわけ、両大学の数多くの卒業生たちの存在があるのではないでしょうか。

「良きライバル」の存在は、人や組織がモチベーションを維持する上での重要な構成要素です。

 私自身の大学時代を振り返りますと、入学してサークルに入るなり、先輩たちに、否応なしに野球の慶早戦観戦に連れて行かれた記憶があります。そして、神宮球場の独特の雰囲気の中で我が大学を応援するとともに、「早稲田」というライバルの存在を強く意識したものでした。

 この思いは、卒業して数十年経った今でも、自分の中で変わることはありません。今回のポスターをソーシャルメディアのフィードで知ったとたん、私は思わず反射的にシェアしてしまいました。

 じっさい、私のように「早慶戦」「慶早戦」というキーワードに、半ば本能的に反応してしまう卒業生の方々も多いのではないでしょうか。この言葉は、大学時代のみならず、仕事などでも普段は忘れている「良きライバル」の存在を思い出させてくれるスイッチなのかもしれません。