箱根駅伝は東洋大学が連覇を飾った。
大会前は本命不在の戦国レースになると言われていたが、結果は順当。予想通り5区・山登りで異次元の強さを見せた柏原竜二が作った2位との3分36秒の差を復路の5人が手堅く守って2度目の歓喜を味わった。
もっとも意外な点もなかったわけではない。まず、昨年10月に行われた全日本大学選抜(出雲)と11月の全日本大学対抗選手権(伊勢路)の2冠に輝いた日本大学がシード権すら逃す15位に沈んだことだ。
日大の戦略は2区に起用したエースのダニエルがトップに立って大差をつけ、その流れをゴールまで維持しようというものだった。誤算だったのは1区で13位と出遅れ、1位・明治大に2分近い差をつけられてしまったこと。ダニエルは期待通りの快走(区間賞)を見せたが、それが響いてトップに立てなかった。また、5区・山登りのスペシャリストが不在だったことも大きい。
次に古豪・明治大学の復活。箱根駅伝は90年前の1920年に4校によって始められたが、この第1回大会に出場したのが明大(他に早稲田大、慶応大、東京高等師範=現・筑波大)である。戦前は箱根の主役といえる活躍を見せ総合優勝も7回を数えるが、昭和30年代以降は新興大学の台頭に押されて低迷。昨年、43年ぶりにシード権を獲得して(8位)、大喜びしていたぐらいだ。
が、今回は1区から4区までトップを独走。優勝の可能性も垣間見えた。結局は5区以降の選手が失速し総合10位に終わったが、シード権は確保。下級生に実力を秘めた選手も多く、今後は安定勢力になるだろう。
新興勢力の台頭も目立った。まず城西大。出場回数は7回に過ぎず、昨年は途中棄権という結果に終わったが、今回は総合6位。3年と2年に好素材が揃っており、来年はさらに上位が狙えるかもしれない。
総合8位に入った青山学院大も大健闘といえる。ここも30年以上、出場できない状態が続いたが、昨年から復帰。選手層は厚くないものの大崩れのない走りでシード権を獲得した。
また、出場2回目の上武大(群馬)も総合14位ではあったが、強豪・日大を上まわる成績で存在感を示した。