報道界に切り捨てられた
苦しみあえぐ数々の声

 その人たちの苦しみあえぐ声は、テレビと新聞では、まったく無視されている。

「憎いとしか言いようがない。避難者を馬鹿にしている」

「財産を汚した責任を強く感じてほしい。家や田畑を守ることがどれだけ大変で大切か、日本の農業を守る大事な仕事をしてきた40年。こんな形で終ることがどんなに辛いか、政府や東電の人たちには分らないだろう。これではダメだと土地を見つけ家を造ったけれど、今までの生活にはならない。友達がいない。田畑がない。庭は少しで何もできない。これで賠償したというのだろうか」

「除染後の廃棄物で町中が覆われている今、そんな所に帰そうとしているのが現実だ。活字に左右されているのか? もっと被災地の現実を見るべきです。他人事ではないのです」

 ──マスメディアには、こうした声が聞こえないのか?

 それでも、安倍晋三の日本政府と自民党・公明党、東京電力の幹部、原子力規制委員会・規制庁、環境省・経済産業省・農林水産省の官僚たちは、この被害者の苦しみをずっと放置して、平然と生きている。

 これでも人間に値するのだろうか、と被災地の人たちのほとんどが怒っているのに、である。

 実際には、フクシマ原発事故の被害者だけではない。
 宮城県~岩手県の津波被害者たちも、仮設住宅というマッチ箱のような狭い家に押し込められたまま、どうすれば元通りの、並の人間生活ができるかと、暗澹たる思いにため息をついている。

 大部分の仮設住宅も、耐用年数を過ぎている。
 ところが官僚たちは、震災復興予算の火事場泥棒に余念がない。被害者は行くあてもなく、打ち沈んで、気が塞ぐ毎日だ。手の施しようがない放射能の脅威にさらされ、傷つき、逃げ道を見出せぬままだ。

 福島県内の自殺者は、大変な数に達している。
 この被害者たちの本心を代弁すれば、「ワラ人形をつくって、フクシマ原発事故を起こした責任者たちの名前を貼り付け、釘を打ちたい」ほどの心境にある。

 しかし本来、このような人々を救済することは、できるはずのことである。
 何が、世界的な経済大国だ!

 アメリカという国は、海外に出かけて行っては、戦争を仕掛け、悪事を重ねてきたが、国内でこのような災害を受けた人に対しては、かなり迅速に救済に動く。