このたび、『アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる』を上梓した。私がジャーナリストとして40年間活動し、80ヵ国以上を回った経験の中から、最低限知っておくといい知識をピックアップして選んだものだ。

 日々のニュースで流れてくる問題を知ろうとするなら、ニュースとなる国のことだけでなく、それに関係する国々の事情を知らなければならない。

 今、世界は複雑になりすぎていて、ニュースから読み取れる断片的な情報では、本質的な意味は分かりづらい。しかし、世界の遠いところの出来事が、思わぬところでつながっていることもある。ニュースを読む力は持っておくに越したことはないのだ。

 たとえば、隣接している国とは友好的なのか、あるいは対立しているのか、といった基本的な政治状況を知っておくことだけでも違う。そして、それを知るときに、もっとも効果的なのは、それぞれの国、あるいは地域の歴史、文化、宗教などを知ることである。

◎世界で唯一の超大国であるが、陰りを見せるアメリカ
◎共産主義のソ連が崩壊し、資本主義国家に変貌したロシア
◎共産主義独裁体制を維持しながら、日本を追い抜き、世界第2の経済大国になった中国
◎中近東だけでなくアフリカ西端から東南アジアまで、広大な地域に広がるイスラム圏

 これら4つの国の歴史や文化を理解しようとすると、その国だけにとどまらず、周辺諸国のことも、その関わりの中で知ることができる。つまり、これらを知ることは世界全体の理解につながっていくのである。
これらの国の歴史、文化、宗教、政治、経済など多岐にわたるテーマを読んでいただいた読者には、広い世界の複雑な政治情勢を読む力がつくと私は確信している。