日本の総合商社が世界で“異例”の理由、独自進化を遂げた「人工ディアスポラ」が抱える次の100年の難題写真はイメージです Photo:PIXTA

独自の進化を遂げた総合商社
商業ディアスポラとの比較

 日本の総合商社は、世界でも類例の少ない独自の進化を遂げた企業群であり、その柔軟性と国際的ネットワークは高く評価されてきた。

 本稿ではその独自性をより立体的に捉える補助線として、他文明が商業ディアスポラで担ってきた機能を、日本では総合商社が企業組織として担ってきた姿を、便宜的に「人工ディアスポラ」と比喩的に捉える見立てを提示したい。

 ディアスポラ(diaspora、離散)とは、ある民族や宗教共同体が政治的迫害や経済的必要から故地を離れ、複数の国に定着しながらも、宗教・言語・血縁の紐帯を保ち続ける集団を指す。

 ユダヤ人、華僑、インドのパールシー〔ゾロアスター教徒でイスラーム征服を逃れインドに移住した宗教的離散民〕などがディアスポラの代表例である。彼らは自らのネットワークを使って、国と国の間を商業と金融で結び付ける役割を果たしてきた。こうしたネットワークを商業ディアスポラと呼ぶ。

 経済史の定説ではなく筆者の解釈だが、総合商社の構造と現在の条件を考える上で、商業ディアスポラとの比較は有用と考える。