双方のハッピーなエンディングを

 私は、かつてこのダイヤモンド・オンラインで娘の就活をルポしていたことがある。娘の時にも、採用責任者から「第一志望ですか?」と聞かれて、「まだ決めかねています」と答えて企業と途切れたことや、リクルーターから「もう他社は回らないね」と、念を押されていたのに、別の会社を廻っていて後ろめたい気持ちがあったことも話していた。

 学生側も翌年に働く会社が決まらないと困るので、何とかまず1社を確保したい気持ちは当然だ。こうしてみると、心の中とは違っても「第一志望です」「他の会社は廻りません」と言うことはやむを得ないと考えている。個人的な見解と断ったうえで、授業の後で質問に来た学生さんにはそう話した。会社側の担当者もある程度それは見込んでいるだろう。

 しかし重複して内定をもらっている場合は選択の区切りがつけば、早急にしかも真摯に相手に事情を話して理解を求めるべきだ。これもその学生さんに伝えた。

 娘の場合は、辞退する理由を説明したところ、担当者は理解してくれたそうだ。娘は娘で、彼から批判めいた反応がなかったので、かえって申し訳ない気持ちが募ったという。

 このように会社側が納得して、学生側は「採用に携わった人には本当に申し訳なかった」と心から思えるようなクロージングをすることが、会社、就活生双方にとって大事だと思っている。

 それは今後、その就活生が会社員として活躍するための大切な要件を含んでいるからだ。また「人生の岐路に立った就活生が示す真摯な態度を見るために採用をやっている」と言う採用担当者がいたことを私は知っている。