安保法案に五輪問題に揺れる日本
「お家騒動」を外国人はどう見ているか?

敬愛する新渡戸稲造氏の著書『武士道』を掲げる著者

 安保法案成立、五輪エンブレム問題、新国立競技場問題――最近、日本で物議を醸している様々なトピックについて、ダイヤモンド・オンライン読者の中には怒りを通り越し、呆れ果てた人もいるのではないだろうか。

 議論が出尽くしてしまった安保問題やオリンピック問題について、今さらつべこべ言うつもりはないが、どうしても捨て置けない問題点がある。これらの出来事について、日本人を代表して海外から注目される立場にある人々がとった行動が、あまりに稚拙で、品位に欠けていたことだ。

・他人事について語るかのような発言の数々をぶっぱなした、五輪組織委員会長
・具体的な責任の所在についての説明を避けてごまかした、組織委員会事務総長
・説明責任を果たさず全員逃亡した、五輪エンブレム審査委員会
・安保国会において、通路封鎖や牛タン戦術などによって時間を無駄に引き延ばした野党議員

 ――などなど、何ともお粗末な展開ではないか。

 きわめつけは、喪服に数珠の装いで5回も牛歩戦術を行なった議員の存在だ。あの映像が海外のメディアやツィッターで「現在の日本政治家」として繰り返し取り上げられるであろうことを、考慮しての行動だったのであろうか。自己主張のためであったなら、日本の政治を担う国会議員としてはあまりに情けない行為だ。あまりの愚かさに、著者は視界が0.5秒ほど涙で真っ白になってしまった。

 今回の日本の情けない「お家騒動」について、シンガポール、東南アジア、インド、オーストラリア、イタリア、アメリカなど、複数の外国人の友人たち意見を聞いてみた。

 すると驚いたことに、五輪問題については、「役割や権限の明確化が大好きな欧米人」であっても、政治家や権力者の場合は、責任の所在をうやむやにするものらしいのだ。もちろん、何かの責任をとっての辞職などというもったいないことも、大概はしないそうだ。政治の世界だけではなく、ビジネスやスポーツ界の交渉などでも、牛タン戦術、牛歩戦術が使われたこともあるようだ。やはりグローバル社会でも大きな利権にかかわる部分がドロドロしているのは、日本と同じらしい。

 しかしさすがに安保国会における「某議員の喪服に数珠」に関しては批判が多かった。言わずもがな、多くの国で「死」はタブーでセンシティブな問題であるため、皆一様に「アンビーバブル……」と行き過ぎた子どものいたずらを見るような反応を示した。その議員が「1人牛歩」を行なったことも話すと、彼らは失笑すら浮かべていた。