「だいたい養育費をちゃんと払ったって、息子や娘に会えやしないじゃないですか?」

 和彦さんいわく「息子には電話もするな、メールもするな、手紙を送るな。そして誕生日やクリスマスにプレゼントを郵送してくるな」。そんなふうに前妻は言いたい放題だったそうです。

「息子には『パパは死んじゃったの』娘には『パパはお星様になったの』と風の噂じゃ、そんなことを吹き込んでいるらしいですよ!本当にもう踏んだり、蹴ったりです。これじゃ本当に『ムダ金』ですよ。僕の財布はアイツの打出の小槌じゃないんですよ!僕のことを銀行ATMか何かと勘違いしてるんじゃないか!」

 しかし、和彦さんが抱えている問題はそれだけではありませんでした。和彦さんはどうしても許せない「あること」があるようです。それは一体、何なのでしょうか?

「どうやら前妻が再婚したらしいのです。まぁアイツが誰と再婚しようが知ったこっちゃないんですが、無性に頭にきているのは、再婚相手が本村隆らしいのです。本村は僕の取引先の人間で、十年来、家族ぐるみで付き合っていました。僕の知らないところで何をコソコソと!結局、本村に自分の妻を寝取られ、子どもを奪われた挙句、何も知らずに養育費を送り続けていたなんて……」

 前妻は7年前(離婚の1年後)に再婚したようですが、和彦さんは7年間、何も知らされていませんでした。おそらく「いずれ再婚する」のは離婚前から決まっていたのでしょう。シングルマザーがわずか交際1年で再婚に踏み切るのは早すぎるので、きっと離婚前から付き合っていたはずです。それなのに離婚時に再婚しない前提で割高な養育費を設定し、再婚の事実をひた隠しにすることで和彦さんから養育費をもらい続けてきたのです。これが私のところに相談しに来たという経緯ですが、和彦さんは前妻の再婚という現実を目の当たりにして、今後のことをどのように考えていたのでしょうか?

「再婚したのに養育費を
そのままもらうのはマズい……でも」

「息子、娘には悪いですが、養育費は1円たりとも払いたくないですね。本村の収入があれば十分でしょう。何に使われているか分からないのに、ありったけの金を振り込むのは、バカげた話ですよ。でも、今さら前妻と話なんてしたくないし、(離婚)調停のときに裁判所で決めた金額だから、どうしようもないでしょ。これから先、僕はどうやって生きていったら……』