結局、広樹さんの妻が男に対して100万円という大金を渡してから2週間。男が自らの過ちに気づき、自分から進んで謝罪をし、許しを乞い、お金を返すなど誠実な対応をすれば、こんなこと(夫である広樹さんの耳に入る)にはならなかったでしょう。結局、男は一切何もしなかったせいで、広樹さんは本来、知らなくてもいい妻の秘密を知らざるを得なくなったのです。

 ところで今回の件の被害者は誰なのでしょう?確かに妻は結婚詐欺の被害者ではありますが、同時に不倫の加害者でもあるので、特に広樹さんに向かって被害者面をするのは無理があります。本当の被害者は他でもない広樹さんでしょう。男にお金を騙し取られ、妻に裏切られ、二重の意味で傷つけられたわけですが、こんなに酷い目に遭ったのだから、妻との離婚を考えてもおかしくありません。広樹さんにそのことを尋ねると、広樹さんは結婚から今までの生活を振り返ってくれました。

妻には特別な事情があり、
夫婦は子どもを望みにくかった

 広樹さん夫婦は7年間、子どもを作ろうとする機会もなかったそうです。広樹さんは年収600万円でどこにもいる普通のサラリーマン。子どもが1人増えたところで経済的に困窮することは考えにくく、特に問題はなさそうです。しかし、広樹さんの妻には特別な事情があり、子どもを望みにくかったのですが、これはどういうことでしょうか?

「体力的、時間的、そして精神的にも今の生活を現状維持するので精一杯で、とても家族を増やす気にはなれなかったというのは本音です」

 広樹さんは今までの苦労をそんなふうに語ってくれましたが、妻にはもともと持病があるようです。

 例えば、日常的に唾液腺が腫れたり、皮膚が乾燥したり、原因不明の蕁麻疹が突然出てくるなどの症状に悩まされており、急に怒り出したり、泣き出したり、落ち込んだり、寝込んだりと妻の喜怒哀楽が切り替わるので、広樹さんも妻の感情の起伏に付き合わざるを得ませんでした。