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2016年テレビCMは生き残れるか

調査で実感した「マスリーチ神話崩壊」

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第92回】 2016年1月12日
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広告会社幹部も恐れる
テレビCMの突然死

 しかし、そんな日本でも若者を中心として、いよいよ本格的にテレビ離れが進んでいるようです。

 NHK放送文化研究所が昨年7月に発表した「日本人とテレビ 2015」の調査結果によれば、テレビの視聴時間は1985年以来初めて減少。とりわけ、「20~50代の幅広い年層で『ほとんど、まったく見ない』人が増加」したといい、特に、20代では、2010年に「ほとんど、まったく見ない」と回答した人は8%だったのが、2015年には16%に増加しています。

 加えて、昨今、スマートフォンおよびソーシャルメディアが爆発的に普及したことで、若者のテレビ離れはさらに加速しています。

 昨年、ある大手メーカーと取り組んで行ったテレビCMの到達力調査で、さまざまな時間帯に20歳から34歳までの女性をターゲットとしたテレビCMを打ってみたのですが、結果として、どのメディアプランでも40%を超えるリーチは得られなかったのです。

 一定の広告費を投下しても、到達率は最大40%です。つまり、そこまでの広告費を投じられない企業に関しては、テレビCMの効果はさらに小さくなるということです。それでも、テレビCMを超えるマスリーチ手段が他にないということは、ネット企業自身が大量にテレビCMを打っている事実に照らしても正しいのかもしれません。

 昨年暮れ、いくつかの大手広告会社の経営幹部の方々と忘年会の席をご一緒する機会があったのですが、みなさん例外なく恐れていたのが、「テレビ広告の突然死」でした。クライアント企業が、一斉にテレビ広告依存からの脱却を決定する日が来るかもしれないというのです。

 テクノロジーの進化により、あらゆる広告の実際の効果が丸裸にされるようになってきました。それにより、テレビ局と広告会社が共同で創り上げてきた「テレビCMのマスリーチ神話」の実態が明るみに出始めています。これまでとは異なる意味で、今年はテレビから目が離せないのです。

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藤田康人
[インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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