2013年9月にシェア金沢を開設したのは、社会福祉法人の佛子園(石川県白山市、雄谷良成理事長)。障がい者の就労施設や高齢者の介護事業を手掛けてきた。施設運営だけの多数の社会福祉法人と違い、コミュニティの再興、地域再生に本腰を入れて取り組むユニークな活動で知られる。

 2012年から金沢市の隣の白川市でJR美川駅の指定管理を始めている。日本で初めての駅舎の指定管理事業者となった。待合室をオープンキッチンのカフェ「美川37Cafe」に変身させ、ギャラリースペースも開設。バリアフリー構造でもある。

 小松市では、廃寺を活用して地域コミュニティセンター「三草二木西圓寺」を2008年に立ち上げる。温泉を引き込んで「西圓寺温泉」として一般住民に開放。足湯も設けた。高齢者のデイサービスを運営し、就労継続支援B型施設として障がい者の働く場にもなっている。子連れの若い家族や高齢者、障がい者などの地域住民が「シェア」しながら集う場であり、シェア金沢の先行事例と言えるだろう。

 こうした地域に根付いた活動の延長線上にシェア金沢を開設したところ、遠く離れた首都圏などの大都市から移住者がやってきた。運営者には予想外のことであった。

「集まり過ぎず、散らばり過ぎず」
都会からの移住者に好評のサ高住

 もう一つの「ゆいまーる那須」はどうか。栃木県那須町のサ高住。こちらは、当初から東京など遠隔地からの移住者を想定して2010年に建てられた。

自然豊かな『ゆいまーる那須』

 山懐に抱かれた森を新しく拓いた丘陵地は、敷地内に牧場があるなど自然環境が豊か。全部で70戸。新白河駅まで新幹線を利用すれば、東京から2時間かからずに来られる。完全に引っ越さずに首都圏に自宅を残しながら行ったり来たりの生活を送る「2地域居住者」もいる。

 それに特化した部屋もある。終身又は15年契約で、年間24日利用できる「那須倶楽部」と3年契約で年間60日利用できる「ロングステイ」の部屋も用意していた。ただ、利用者が少なくなったため、昨秋からは「那須倶楽部」だけに切り替えている。

 各戸の部屋面積は33m2~66m2。サ高住としてはかなり広い。2戸が連結した平屋と一部2階建ての住宅が天井付きの回廊で円形に結ばれている。それぞれ5~7棟の住宅で構成された円形の回廊が5つあり、各戸の独立性が高い。住戸に囲まれた5つの中庭にはベンチが置かれ、住民が気軽に話ができる作りが面白い。

 こうした「集まり過ぎず、散らばり過ぎず」の配置が、ほどほどの近所づきあいを好む都会人にはお似合いのようだ。

 運営するのは株式会社のコミュニティネット(東京、高橋英与社長)。同社の運営方針は「入居者と一緒に働き、学び、生活する参加型」。高齢者の福祉施設や住宅の多くは、スタッフと利用者は「する側」と「される側」が峻別されている。だが、同社では「同じ立場に立って」という考え方で入居者をあらゆる段階で呼び入れ、巻き込んでいく。