その中で、2015年第4四半期のGDP統計(事前推定値)では、在庫投資のマイナス寄与で、GDP全体が成長率年率0.7%という弱い数字にとどまるという事態に陥った。

 強弱交錯という中で、米国経済全体を均してみるとどうか。多くの経済指標を一つの数字で表す試みである全米経済活動指数(CFNAI)の動きを見ると、このところ、その趨勢値は下向きになってきている(図1参照)。強弱両方向の経済指標の動きが見えていても、全体として見れば、米国の経済活動は鈍りだしていると言える。

◆図1 趨勢が低下傾向を示している全米経済活動指数

出所:シカゴ連銀

米国景気は成熟局面にある
今後は手放しで楽観できない

 問題は先行きであるが、この減速が、在庫調整によるものであれば、そう長く続かないという楽観論を持つ余地はある。実際、アトランタ連銀が公表しているGDP Nowでは、2016年の第1四半期分は、前期比年率2.7%にまで高まっている。在庫のマイナス寄与も解消している。

 しかし、次の二つを見ると、上向きの動きを手放しで楽観できない。

 第一は、景気拡大の成熟である。米国経済は、おおむね約10年周期で2期連続マイナス成長の景気後退をみている。この循環の直近の景気の底は、2006年9月である。それから約6年半が経過した。景気回復開始から6~7年目という時分では、過去は、拡大の勢いが鈍る成熟の局面になっている。そして、今もその兆候が見えている。

 第二に、このところの市場の動揺が、実態経済に影響を及ぼす可能性を無視できない。株価下落が止まらないと、企業のCEOは、人員削減のボタンを押し始める懸念がある。

 第三に、懸案の労働生産性の成長が高まらない問題が解消されないことである。これでは、労働需給の引き締まりがあっても、企業が賃金を積極的に引き上げる原資を確保できないことに通じる。