医師の言葉に勇気づけられたOさんは父親に「ずっと家にいてもつまらないだろうから、またデイサービスセンターに行かない?最初は俺も一緒に行くよ。何回か行ってどうしてもダメならまた考えてみよう」と提案した。

 それは意外にも父親にあっさりと受け入れられ、数日後に一緒にデイサービスセンター行くことになった。「久しぶり」と仲間から歓迎されて、父親もまんざらでもなさそうだ。

 そして今、父親は、ショートステイをまじえながら、普段はデイサービスセンターに通っている。碁の仲間ができたようで楽しく通っている。

 その時期、Oさんは、父親の介護で悩んでいるとネットで書き込みをしたら、実家の近くのボランティアの方が何人も名乗りをあげてくれて、お互い連絡をとりあいながら交代で顔を出してくれるようになった。介護には終わりがない。その終わりが見えないからこそ、周りの手を借り、感謝しながら、気長にやるべきだと心から思った。

 老人医療に詳しい徳島博愛記念病院理事長、日本慢性期医療協会会長 武久洋三医師は、介護について以下のようにアドバイスをする。

「介護する側が一番困るのは、介護を受けるご本人が自宅で介護や看病が難しいのに、『介護老人保健施設などに行きたくない、自宅に帰りたい』と言われることです。

 この方のように、まずは家族が付き添って何回か一緒に行ってみることが大切です。ご家族一緒に周囲の方と話すことで、自然と環境になじむことができます。ご家族の安心にもつながると思いますから、ぜひ試してください。

 そして、集団生活だからと遠慮しないで、スタッフに『本が好きだから読書の時間がほしい』と自分の希望する過ごし方を伝えてみてください。

 また、私の現場での経験からいうと、お年寄りはキレイにしてあげると皆さん元気になるように感じます。お風呂に入る。パジャマを着替える。シーツをとり替える。女性の場合はお化粧をしてみる。こうしたことを通してキレイにすることで意識が大きく変わります。ぜひ実践してみてください」

(日本医学ジャーナリスト協会 医療ジャーナリスト 財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長市川純子)