>>(上)より続く

「あんたの運転が下手っぴなせいで腰痛になったのよ。この前は階段から突き落とされたじゃないの!このままじゃ殺されるのも時間の問題だわ!!」

 妻はあること、ないことを言い出すほど精神状態が悪化していったようです。功さんいわく運転の上手下手はともかく、妻を階段から突き落とした覚えはなく、完全な作り話だそう。とはいえ功さんが少しでも言い返そうとすると、妻は「何よ!男のくせに」と逆上する始末で、まともな会話が成り立たないほど関係は悪化していました。さすがにDVをでっち上げるような妻を引き止める気にはならず、功さんはここに至ってようやく離婚を決断したのです。

「せっかく手に入れたコテージなのに、たったの3年で半値になってしまい、頭が痛いですよ!」

 功さんは10年前、インドネシアに移住すると同時に、複数のコテージを購入しました。1つは功さん夫婦が生活するための居住用、それ以外は賃料を得るための投資用で、最初のうちは安定した賃料を得ることができたので、10年間でコテージに投資した資金は回収できるだろうという功さんの目論見通りでした。

不動産、外貨投資が見込み違い
妻の「損切り」の矛先は夫に

 しかし、ここ3年の間で状況は一変。インドネシア国内の景気はみるみるうちに落ち込んでいき、景気悪化の影響は不動産の市況にも飛び火していったのです。まずコテージの価格。功さんは当初、2200万円で購入したのですが、今では1300万円の価値しかなく、10年間で約4割も下がってしまいました。当初は年260万円を見込んでいた家賃収入は今では130万円と半減し、功さんにとっては完全に誤算でした。しかし、見込み違いは不動産投資だけではありませんでした。

「ルピア(インドネシアの通貨)がどんどん下がってしまって…」

 功さんは日本の預貯金のうち900万円をルピアに替え、インドネシアの銀行へ移し変えました。最初のうちは為替相場も安定しており、発展途上国の通貨だからといって特に不安を感じることはなく、万が一のときは日本円に戻すことも可能でした。

 やはり国内景気と為替相場は連動しており、景気悪化に伴って為替相場も悪化の一途を辿っていき、3年前、1ルピア0.014円でしたが、今では0.008円まで落ち込み、わずか3年間で4割近くも暴落した計算です。功さんの預貯金も日本円で900万円から513万円へ大幅に目減りしてしまいました。今さらルピアから円に切り替えることも難しく、手を打ちたくても打てない、八方塞がりの状態に陥っていたのです。