1年前、栃木県で発生した母親2人の連続自殺事件以来、注目を浴びるようになったママ友いじめ。大の大人で、しかも母親という立場の人間らが、「いじめ」という幼稚な行為をすることに衝撃を受ける。女同士の閉鎖的で排他的なコミュニティの実態を取材した。

1年前の事件調査で分かった
陰湿な「ママ友いじめ」の実態とは

 2015年4月16日、そして23日に栃木県佐野市の私立小学校に通う児童の母親が相次いで自殺した。その後、遺族などの証言から、子どもたちが学校で物を隠されるなどのいじめを受けて不登校になり、2人の母親は他の母親に相談したり、いじめた児童の母親に直接「いじめないで」とお願いするなどしているうちに、母親たちの間で孤立。仲間はずれになっていたことが明らかになった。

表面上は仲良しでも、水面下では激しいバトルが繰り広げられていることも。栃木県の私立小学校ではママ友いじめが原因と見られる自殺者が2人も出てしまった(写真は本文と関係ありません)

 2人の死後、学校や佐野市の教育委員会は独自に調査を行い、LINE上のトークルームで陰口を言われていたなど、嫌がらせを受けていたことを確認。しかし最終的にはなぜか「児童や母親の間にいじめはなかった」と結論づけた。

 同じ小学校の母親が1週間という短期間で2人も自殺したにもかかわらず、メディアで報じたのは同年7月の読売新聞の栃木県南版のみ。インターネット上では、「いじめた主犯格の母親は教鞭を執っている人間らしい」「ダンナは教育委員会らしい」「町内会の人間が、誰がマスコミに話したのか探している」という地元の人間によるSNSの書き込みもあり、小学校と教育委員会による隠蔽も疑われた。

 事件は、子どもへのいじめ、ママ友たちからの仲間外れが原因と見られる。人格が十分に確立していない幼い児童と母親は別個のものではなく、「ペア」として考えられるのが常だ。だから、片方がいじめに遭うと、当然、もう一方にも影響が及ぼされる。こういった母親たちの社会でヒエラルキーがあり、いじめへと繋がることは、今にはじまったことではない。

 世間でも時折、情報番組やドラマのネタとして挙げられることもあった。かつてドラマのキャッチコピーにも使われた「ママ友地獄」という言葉があるほど、大変そうなママ友コミュニティの実情。ママ友によるいじめは身近にもあるのか、小学生、中学生の子どもがいる母親たちに話を聞いてみた。