有権者によって判断が分かれる評価項目

 難しいのは、(4)〜(8)の5項目が、有権者の考えによって、評価の方向性が変わることだ。

(4)行政の経験については、巷間取り沙汰されている候補者の中で、元大臣、元知事、元官僚、ジャーナリストなどのどなたが真に行政に通じているのかは、一概には言えない。

 筆者は、行政組織のアクセルとブレーキの場所を良く知っているのは元官僚ではないかという気がするが、元官僚が好ましくない利権に迎合した場合には相当にたちが悪いので、この項目の評価は大変難しい。元官僚でもあの人はプラスだが、この人の場合マイナスに評価したい、というような事が起こりそうだ。また、官僚はたまたま自分が関わった仕事に詳しいだけだし、日本にあって、大臣や知事といった政治家は、選挙や人事に勝ちさえすれば、官僚に逆らわなければ誰でも務まるので、「経験」を形式的に評価することは適切ではない。

 都議会との関係の評価も微妙だ。都知事が、都議会の賛成なしに進めることができる事柄は案外少ない(副知事の任命さえも都議会の承認が必要だ)。都議会の大勢が好ましいか否かによって、知事が都議会と敵対的なのがいいのか、宥和的なのがいいのかが変わる。

 仮に今の都議会・都庁に問題があるとしても、都議会・都庁と敵対しながら自分に弱点があると、何も進めることができないレームダック都知事になってしまう可能性があるし、他方では、都議会や都庁こそを改革する必要があるのだとした場合は、はじめから都議会と宥和的な知事や、都庁の役人にとって「使いやすい知事」は役に立たない。

 2020年に予定されている東京オリンピックの準備は、競技場やエンブレムの問題にも見られるごとく、順調とは言い難い。今回の都知事には、特に東京オリンピックに対してどのように臨むのかが問われるが、これも有権者によって判断が分かれる問題だ。

 例えば、筆者個人は、東京オリンピックについて、返上は難しかろうが、せめてできるだけ予算を掛けずにコンパクトで安全に開催してほしいと思うが、少々利権にまみれても大規模で賑やかに景気対策効果の大きなオリンピックを、森喜朗元首相らと緊密に連携して実行するのがいいと思う都民もおられるに違いない。