パキスタン政府の計画によれば、グワダル深水港工事は二期に分かれているという。第一期は総投資額2.48億ドルで、中国が1.98億ドルを出資する。主に、3つの多機能埠頭や全長4.35キロメートルの入港路など、港のインフラ建設に用いられる。

 第二期は第一期よりさらに広範で、船舶の係留施設10ヵ所を建設し、うち3ヵ所はコンテナターミナルである。このほかタンカー用係留施設を2ヵ所建設し、うち1ヵ所は地下パイプラインとつながる製油所で、総投資額は5.24億ドルである。

中国企業がシンガポールから運営権を引き継ぎ

 前述の通り、2013年にグワダル港の運営権はシンガポールから中国企業が引き継いだが、そのことによる影響は地域的なものにとどまらず、世界的なものとなる。

 中国国内のメディアの分析によれば、最も大きな影響を受ける国はインドである。パキスタンはこれまでずっとインド軍のアンテナから遠く離れた港の開発を切望してきた。中国政府もこれによってインド海軍の様子を観察する重要な拠点を得ることになる。

 イランにとっては、自国の主要な港2つがライバルを迎えることとなるため深刻な事態である。中央アジアと世界市場とをつなぐ要として、イランはこれまでほぼ独占的な地位を占めていたが、グワダル港はこれに対する挑戦となる。

 アラブ首長国連邦もドバイ港の輸送業務がグワダル港に流れ、ビジネスの収益に影響することを心配している。

 アメリカが中東に配備している第5艦隊にとっても大きな脅威となる。グワダル港はホルムズ海峡に近く、中国政府はこの港によって極東やヨーロッパへの戦略石油貿易に脅威を与え、アメリカの戦略とエネルギー安全保障も影響を受けることになる。