岩手が誇る世界遺産 平泉中尊寺

 移住するなら、やっぱり人のあたたかいところがいい。

 毎年、都道府県魅力度調査ランキングを発表している『地域ブランド調査2015』(ブランド総合研究所)。同調査では、「人のよさや優しさ、おもてなしがよい」というイメージのある都道府県、市区町村についても調べている。このなかで2014年、2015年と連続して1位を獲得したのが岩手県だ。市区町村別に見ても、6位に花巻市、8位には釜石市がランクイン。それぞれ前年は15位、130位だったことから、大躍進を遂げている。

 震災復興やNHK朝ドラ『あまちゃん』の舞台として、近年多くの人が訪れる機会も増えた岩手県。果たして、「人のよさや優しさ、おもてなしがよい」というイメージは本物なのだろうか。住んだらどんなところかも含め、その真偽を確かめてみた。

県内移動で6時間、定期代22万円も!
岩手ならではの「通勤スタイル」とは?

三陸海岸の風景。リアス式海岸が美しい

 岩手といえば、都道府県の面積が北海道に次いで第2位という広い県。一方で、広いがゆえに人口密度は北海道に次いで2番目に低い。

 とにかくデカい岩手は、大きく県北・沿岸・県南・県央の4つのエリアに分けられる。県北は、青森と接するエリアで馬仙峡という景勝地のある二戸市も位置するエリア。沿岸は、釜石市や宮古市などがあり、リアス式海岸の美しい景観が魅力だ。県南は、世界遺産の平泉や花巻市、製造業が盛んな北上市や奥州市、渓谷で舟下りのできる一関市といった県外からも知られる町が数多い。そして県央は、県庁所在地の盛岡市やあの小岩井農場を擁するエリアだ。

「岩手は広すぎて県内を移動するのに1日仕事になることもあります。例えば、公共交通機関を使って沿岸南部にある釜石から沿岸北部にある久慈へ移動するのには、6時間くらいかかるんですよ」

 こう話すのは、ブランド総合研究所の田中章雄代表。これまで何度も岩手を訪れてきたが、同じ県内でもエリアによっては1日2件の仕事をこなすのはかなり難しい、と話す。とは言っても県内なのに6時間は大げさじゃない?と思い、実際に調べてみた。

 ……本当だった。

 インターネット上の乗り換え案内サイトを利用し、「釜石→久慈」の最短ルートを検索した。釜石からは釜石線で約2時間かけて新幹線駅のある花巻に入り、そこから新幹線で青森県八戸へ。八戸からは八戸線で久慈に到着。乗り換え時間も含めて、6時間かかってしまった。このように県外へ行くよりも、県内を移動する方が時間のかかる場合もあるのだ。