内藤尚志
コロナ対策の持続化給付金をめぐる不透明な民間委託問題は安倍政権の致命傷になる可能性がある。「お友達優遇」が色濃く出ているだけでなく、支持率や長期政権維持の命綱だったアベノミクスの“欺瞞(ぎまん)”を浮き彫りにするものだからだ。

官民一体で進めてきた原発輸出が「総崩れ」だ。原発事業の“国内回帰”を図るメーカーに対し、政府は成長戦略の失敗ととられることや選挙を意識し距離を置く姿勢が目立ち、メーカー側にいら立ちが強まる。

日本企業の「原発輸出」が各地で苦戦している。安全対策費の高騰などで採算性に不安があるうえ、世界的な「脱原発」のうねりが強まる一方だ。だが、「やめるにやめられない事情」がある。

今春闘はトヨタが賃上げ額を伏せて政府が求めた「3%」達成を宣言するなど異例の展開だ。政府への“配慮”を優先した苦肉の策だが、交渉の主導権を奪われた労組だけでなく、部品メーカーなどにも波紋が広がる
