阿部 將
主要国のインフレは、資源・穀物価格の上昇を契機として川上から川下へと物価上昇が波及していく形で加速していった。そこにはインフレ予想が介在する余地はない。「物価を決めるのはインフレ予想ではない」の後編では、物価の決定とインフレーションの発生についての理論的な変遷をたどり、物価を決定する真の要因を検証する。

2020年以降、主要国においてインフレが高進した。その理由として、予想インフレ率の上昇が挙げられることが多い。しかし、物価上昇の過程などを分析して、浮かび上がるのはインフレ予想ではない。物価を決定する真の要因を2回にわたり検証していく。前編では、要因を分析する前提として、日米欧の20年以降の物価動向を整理する。
