金融危機以降、減少が続いていた企業倒産件数が、再び増加基調に転じている。大型倒産が減っているため目立たないが、じつは資本金1億円未満、負債総額1億円未満の中小・零細企業が次々につぶれているのだ。ここにきて、なぜ中小企業倒産が増えているのか。背景を探ると、貸金業法改正に象徴される「官製不況」の実像がくっきりと浮き彫りになる。
「信用金庫にだまされた!」――。ある東京都内の工務店経営者は顔面蒼白である。
子細はこうだ。建売住宅を建てるため、2億5000万円の土地を購入した。自己資金は2000万円で、そっくり手付け金として支払いずみ。残る2億3000万円は、日頃から取引している某信用金庫から借りる手はずが整っていたはずだった。
ところが、2月末の支払い期限があと2週間で来るという段階になって、突然、この信金は手のひらを返す。1億5000万円しか融資できないというのだ。差し引き8000万円の資金不足。「そんな大金を2月末までに用意できるわけがない」。
用意できなければ、手付けの2000万円はパー。諸方への支払いも行き詰まる。たちまち倒産の危機だ。
上のグラフを見てほしい。企業倒産が不気味に増え続けている。2007年度は1万1000件に迫る勢いだ。2004年度は5887件だったから、わずか3年で約2倍に跳ね上がった計算である。
「竹中プランに沿って金融機関が不良債権処理を進めた結果、2万件を超えた2001年の水準にまで増えてもおかしくない」(中森貴和・帝国データバンク情報部課長)という見方すらある。