
JR東海は3月19日、2027年度に東海道新幹線へ半個室タイプの上級クラス座席を導入すると発表した。同社は2022年に「グリーン車の上級クラス座席」の導入を検討すると表明。2024年4月には、2026年度中に「個室」を導入すると発表しており、今回の「半個室」は第2弾の位置づけとなる。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
個室、半個室など
4つの座席を用意
半個室は一部の「N700S」車両の10号車(グリーン車)に6席設置。通路と座席の間に鍵付き扉を備え、大型バックシェルタイプのレッグレスト付き座席を採用することで、高いプライベート感と上質性を兼ね備えた座席とする。半個室というように前後の座席の間に壁がないため、座席を回転して対面で利用することもできる。
個室は同じくN700Sに1編成あたり2室を設置し、レッグレスト付きのリクライニングシートに加え、専用Wi-Fi環境、個別調整可能な照明、空調、放送(音量)を備える。イメージ画像では座席がひとつだけだが、1〜2人で利用できる構造にするそうだ。
普通席、グリーン席、半個室、個室の4つの座席が用意されることになるが、JR東海によれば、「上級クラス」「最上級クラス」を加えた4段階ではなく、「上級クラス」の中に個室、半個室の2タイプがある形になる想定だという。

1992年にデビューした「300系」以降、東海道新幹線は普通車、グリーン車の2クラスの座席を基本としてきたが、国鉄末期から民営化直後にかけて製造された「100系」の2階建て車両の1階部分に、1~4人用のグリーン個室が設定されていた。
これらの個室が食堂車(カフェテリア)とともに廃止されたのは、ひとつは大型で重量があり、重心が高い2階建て車両は「のぞみ」の時速270キロ運転の妨げになること。もうひとつは民営化後3年間、バブル経済下で東海道新幹線の輸送人員が3割近く増加したため、1編成あたりの輸送力を最大化する必要に迫られたからだ。