
「株式投資より安定している」「節税にもなる」「老後の備えになる」――不動産投資に関心を寄せるビジネスパーソンは少なくありません。経済不安や年金不信が広がる中、会社員としての収入だけに頼らず“資産を働かせる”手段として、不動産投資に注目する40〜50代が増えています。「不動産投資は“ほったらかし”で稼げる」なんて言葉を鵜呑みにしていませんか。実際には、築30年超の物件を“利回り15%”で運用する現役会社員の兼業大家が、有給休暇を使ってまで行う“地味すぎる作業”が待ち構えていました。月75万円の家賃収入を得る彼が、なぜ有休中の平日昼に街を歩き回ることになったのか――そこにあった「大誤算」の正体とは?(現役サラリーマン大家L)
空室で疑心暗鬼に
頭をよぎった「物件売却」
テレビ視聴率が30%まで跳ね上がったMLBの日本開幕戦。ドジャースは大谷翔平投手が本塁打を放ち、2連勝した。さすが選ばれし者が集まるチームだとテレビの前で感心しきりでした。
ですが、兼業大家である私はふと2年前の苦しい時期を思い出していました。大谷翔平のような規格外なスーパースター(不動産会社)はいない。そして、そもそものチーム(ビル)は築30年程度で作りも一般レベル、輝かしい世界王者とは遠くかけ離れたものだからです。
国民的行事だったMLB開幕戦にかけてなんの話をしているかというと、なじみの不動産屋さんと自分の物件のことだったりします。
実は私の持ちビルは、前の所有者の時から20年ほど、とても優秀で懇意にしていた2つの地元密着型の不動産会社さんが支えてくれていました。数年前までは部屋の8割程度を決めてくれていて、空室が出れば2枚看板ともいうべき2社に電話すると、1か月くらいで借り手を決めてくれていました。
それがコロナ禍を経て、だんだんと様相が変わってきます。