世界投資へのパスポート
【第362回】 2015年4月12日公開(2015年4月13日更新)
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「世界投資へのパスポート」

著者・コラム紹介

世界投資へのパスポート

広瀬隆雄 ひろせ・たかお
三洋証券、S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て、2003年、投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツLLCを設立。長年、外国株式関連業務に携わっており、特にBRICsをはじめとした新興国市場に詳しい。米国カリフォルニア州在住。

広瀬 隆雄

日経平均株価2万円とアベノミクスを
アメリカの投資家はどう見ている? 
いまゼネラル・エレクトリックが買いの理由とは?

1

【今回のまとめ】
1.米国投資家にとって日経平均株価2万円に違和感は無い
2.世界的な株高とM&Aの隆盛はFRBの利上げがしやすくなったことを意味する
3.ゼネラル・エレクトリックのGEキャピタル処分は、そういう好環境だからこそ出来た
4.ゼネラル・エレクトリック株は買いだ!

アメリカから見た日本株市場

 日経平均株価が15年ぶりに一時2万円をつけました。

 そこでアメリカの投資家は海の向こうの日本で起きていることをどう見ているのか? という点について、まず論じたいと思います。

 その前にアメリカの投資家が、なぜ日本株にとって関係あるのかを、ちょっとだけ復習しておきます。下は世界の投資信託の資産の所在を登記国ベースで示したものです。

 なお投資信託が組み込んでいる株式の比率は44%程度です。後はマネー・マーケット(16%)、債券(15%)などになります。いずれにせよ、米国の存在が圧倒的であることがお分かり頂けると思います。

 米国の投資信託は主にフィナンシャル・アドバイザーとよばれる資産運用の助言をする専門家たちの意見で売ったり、買ったりされます。彼らは半年に一度の割合でお金を預かっている個人投資家と面談し、その度ごとにポートフォリオのアロケーション(=資産配分)を決めてゆきます。

 現在はドル高局面であり、普通、米国のフィナンシャル・アドバイザーたちはそういう局面で海外の資産の配分を増やすと為替で損をするので海外投資には慎重です。

 幸い、近年は為替ヘッジされた日本株へ投資するファンドなどの新しい投資機会が増えているので、円安を心配せずに日本株により多くの資産を配分することが出来るようになっています。

 ひるがえってアメリカ企業を見た場合、昨今のドル高で決算が悪くなっている企業が続出しています。いまは2015年第1四半期の決算シーズンがはじまろうとしているわけですが、今回の決算シーズンは最近では初めて全体としてマイナス成長になると予想されています。これは円安で企業業績が伸びている日本と好対照をなしています。

日本株は向こう12ヵ月の利益予想に対して15倍程度の株価収益率(PER)で取引されており、これに対してアメリカ株は18倍程度となっています。

 つまりバリュエーション的にも日本株にムリは無いのです。

 日本では量的緩和政策に対しては懐疑的な見方も多いですが、一足先に量的緩和政策に踏み切ったアメリカはすでに不況を脱し、いよいよ利上げを試みる段階に来ています。この「成功体験」があるので、アベノミクスに対する否定的な意見はアメリカの方がずっと少ないように感じます。

世界株高がFRBの金融政策にどう影響する?

 連邦準備制度理事会(FRB)は表向きには「外国の経済や金融市場のことを心配するのはFRBの仕事じゃない」という立場を堅持しています。

 しかしそれではFRBが外国経済や海外のマーケットで起きていることを全然気にしないか? と言えば、それは気にしています。

 実際、先日もベン・バーナンキ前FRB議長が「欧州各国の金利がマイナスになっているような局面でアメリカが利上げするのは良くない」という意味の発言をして注目されたばかりです。つまり海外市場が元気の無いうちは、FRBも安心して利上げ出来ないというわけです。

 しかしここへきて欧州株式市場も、中国・香港市場も、そして日本株も好調です。つまり世界的な株高になってきているわけです。

 それはFRBが利上げのタイミングを模索するにあたって「心の重し」が取れたことを意味します。

 また最近は怒涛の如くM&A(企業買収・合併)が発表されています。2015年第1四半期のグローバルM&A総額は8871億ドルで、去年の第1四半期に比べ+23%でした。これは2007年の1.1兆ドルに次ぐ高水準です。

 ここ数週間の主なディールを振り返っただけでもHJハインツによるクラフト・フーズの買収(454億ドル)、アッヴィーによるファーマサイクリックス買収(210億ドル)、ロイヤルダッチシェルによるBGグループの買収(700億ドル)など大型案件が目白押しです。

 企業の経営者のマインドが委縮しているときは、M&Aは活発ではありません。M&Aが物凄い勢いで戻ってきているということは、経営者が景気の先行きに自信を持っていることのあらわれです。

 しかしM&Aの隆盛はマーケットの過熱、バブルの醸成と紙一重であるという見方も出来ます。つまりそろそろ冷やしにかからないと景気拡大局面が逆に短命で終わってしまうリスクが増加しはじめているわけです。

 FRBがそろそろ重い腰を上げ、利上げに取り組まないといけないのはこのためです。

ゼネラル・エレクトリックの金融ビジネス撤退

 そこで先週の金曜日に飛び込んできたビッグ・ニュースはゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)が金融ビジネスから撤退するという発表です。

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