世界投資へのパスポート
【第379回】 2015年8月16日公開(2015年8月16日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
広瀬 隆雄

人民元切り下げでパンドラの箱は開いた。
相場はトレーディング的には反発局面だが
「深追いは禁物」の理由とは?

<今回のまとめ>
1.人民元の切り下げで、センチメントは悲観に傾いた
2.しかしイベント・リスクは高くなっている
3.米国の利上げは中国政府の努力を台無しにしかねない
4.人民元の切り下げが、これで打ち止めになる保証はない
5.新しい不確実性が生じた以上、慎重に行動すべし

人民元切り下げで投資家はビックリしたが、
いまは落ち着きを取り戻した

 先週、中国人民銀行が人民元を切り下げました。これに驚いた世界のマーケットは新興国市場を中心に調整しました。

 その後、中国人民銀行が市場をなだめるコメントをしたため、人民元相場は落ち着きを取り戻しています。

センチメント的には反発もあるが
今後1~2カ月のスパンでは注意が必要

 米国の株式市場の参加者のセンチメントを見ると、かなり悲観が増え、目先的には相場が底入れしやすい状況となっています。下はブルベア指数です。

 ブルベア指数とは、全米の株式ニュースレターの「強気」ないしは「弱気」を集計したもので、米国で最も歴史の古いセンチメント指標のひとつです。

 この指数は、「強気が多ければ多いほど、相場は逆に下がる」という風に解釈します。つまり逆指標というわけです。現在は強気が40.2で去年の10月22日以来、最も少なくなっています。これは買い場が近いことを示唆しています。

 このため今週はマーケットが反発してもおかしくないと思います。

 ただ今後1~2か月の展望を考えると、イベント・リスクは極めて高いと思います。

米国の利上げを巡る不確実性。
市場関係者はほぼ50:50と予想

 その最大のものは米国連邦準備制度理事会(FRB)の次の出方です。具体的には米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートを、現行の0~0.25%から0.50%へ引き上げるかどうかが注目されています。

 その可能性を知るひとつの方法として、先物市場で取引されているフェデラルファンズ・フューチャーズの価格から、トレーダーたちがどのくらいの確率で利上げが実施されると織り込んでいるかを逆算する方法が知られています。

 説明が煩雑になるのでその計算方法は今回省略しますが、結論として、先週金曜日(8月14日)の段階で市場参加者は「45%の確率で9月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げがある」と見ています。

 45%の確率は、限りなく50:50に近いです。つまりどちらに転んでもおかしくないわけです。

もしFRBが利上げしたら、
米中の関係が市場に不安を与える

 もし9月17日にFRBが利上げしたら中国は苦しい立場に追い込まれます。なぜならこのところの1年物貸出基準金利の利下げ(現行は4.85%)や人民元の切り下げは、いずれも中国経済をテコ入れするための措置だったからです。

 この場面でFRBが利上げすると、それはドル高要因であり、せっかく切り下げた人民元が、また各国通貨に対して強含むことを意味します。これは中国の努力を台無しにする行為です。

 もし中国とアメリカとの間で金利政策面での協調が無いと投資家が感じると、それはちょうど1987年にドイツとアメリカの不協和音がブラックマンデーの引き金になったように投資家を不安に陥れるでしょう。

先週の人民元切り下げで
中国経済がプラスになるかは未知数

 もうひとつの不確実性は、中国経済の減速が、実際、どのくらい深刻か? という問題です。

 先週の人民元切り下げは、言うまでもなく景気を支援する意図でなされたものです。しかし3%程度の元安誘導が、実体経済にとってどれほどプラスになるかは未知数だと思います。

 中国政府は、更なる利下げを打ち出してくる可能性があります。しかし前回、中国人民銀行が1年物貸出基準金利を引き下げたときは、市場参加者は(中国経済は、そんなに深刻な状態なのか?)とこれを嫌気し、株式市場が急落しました。つまり中央銀行が後手に回っている観が否めないわけです。

中国政府だって間違える事はある。
ダラダラとした人民元安が続く可能性も

 このような一連の出来事は投資家に(中国政府だって間違える事はある)という印象を与えています。つまり完全無欠のオーラが消えてしまったわけです。

 同様のことは日本も過去に経験しました。1980年代までは欧米人は(日本の通産省は、やること成すこと、すべて完璧だ)という尊敬というか畏怖(いふ)の念を抱いていました。しかしバブル崩壊後は、一転して、何をやっても上手く行かないという焦燥(しょうそう)にさいなまれたのです。

 いま、中国の経済運営は、魔法が消えかかっている大事な局面に来ています。よく「景気は気から」と言いますが、国民や事業主の中国政府への信頼感が失われると、取り返しのつかないことになるリスクがあるのです。

 いくら中国人民銀行が「今回の人民元の切り下げは、これで終わりだ」と主張しても、人民元の切り下げが景気浮揚効果を目指しているものである以上、肝心の景気が上向かないことには切り下げを打ち止めにすることは出来ないのです。その場合、ダラダラとした人民元安が続く可能性は排除できないでしょう。

 つまり先週、中国人民銀行が人民元と米ドルとのペッグをやめてしまったことは、喩えて言えばパンドラの箱を開けてしまったのと同じだということです。これからどんな災いが世界経済に降りかかってくるかは、誰にもわからないのです。

 なるほど上で見たようにマーケットのセンチメントは悲観の方向に振れたので、目先的にはトレーディングBUYかも知れません。でも新しい不確実性が世界経済にもたらされている以上、我々は慎重になるべきです。

 ここはキャッシュポジションを高く維持し、守りに徹することをお勧めします。

【2017年10月1日更新!】

「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社

◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
3430銘柄以上
個別株:3110銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:60銘柄以上
約定代金の0.45%
※最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル
【ポイント】
米国株取引に力を入れており、取扱数3000銘柄以上は主要ネット証券では最大! 成行注文や指値注文のほか、逆指値注文、連続注文、ツイン指値(OCO注文)など、多彩な注文方法が使えるのも魅力だ。現在、米国株取引手数料(税抜)を、最大3万円キャッシュバックするお得なキャンペーンを実施中!
【関連記事】
◆【マネックス証券おすすめのポイントは?】日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
【米国株投資おすすめ証券会社】マネックス証券の公式サイトはこちら
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
1400銘柄以上
個別株:1030銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:100銘柄以上
約定代金の0.45%
※最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル
【ポイント】
住信SBIネット銀行の口座を持っていれば、入出金手数料が無料など、便利な「外貨入出金サービス」が利用可能! ダウ・ジョーンズ社が発行する金融専門誌「BARRON’S(バロンズ)」の抜粋記事(日本語訳)や、モーニングスター社による「個別銘柄レポート」など、投資情報も充実している。
【関連記事】
◆【SBI証券のおすすめポイントは?】IPOの多さ&夜間取引、銀行との連携など独自サービスも充実!
◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!
【米国株投資おすすめ証券会社】SBI証券の公式サイトはこちら
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税抜)
1300銘柄以上
個別株:920銘柄以上
ETF:250銘柄以上
ADR:120銘柄以上
約定代金の0.45%
※最低手数料5米ドル、上限手数料20米ドル

注)2017年9月25日現地約定分からの手数料
【ポイント】
新興国などの個別銘柄を実質的に売買できるADR(米国預託証書)の銘柄数が豊富。日本株と同じ取引ツール「マーケットスピード」でも取引可能で、10種類以上のテクニカルチャートを使うことできる。ダウ・ジョーンズ社の有名金融専門誌から記事を抜粋・日本語訳した「バロンズ拾い読み」も読める。
【関連記事】
【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実!
◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい!
【米国株投資おすすめ証券会社】楽天証券の公式サイトはこちら
※ NYSE(ニューヨーク証券取引所)、NYSE Arca、NYSE MKT、NASDAQに上場する個別株 。
Special topics pr


ZAiオンラインPickUP
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは?
ランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証  アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!


 

11月号9月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【株で1億円を目指す銘柄!今買う10倍株】
今後1年の日経平均の高値&安値を大予測
株で1億円を目指す10倍株ベスト67
・買い&売りをズバリ!人気株500診断
別冊付録!上場全銘柄の理論株価
・10年先を見通す10倍株
つみたてNISAのオトクな使い方

・買いの高配当株&優待株ベスト14
3万円以下で買える株ベスト9
・成長余力が大きい
有望IPO株
長期で値上がりを狙う厳選投資信託18本

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! 新築マンションランキング