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「引きこもり」するオトナたち

優秀な社員が突然出社拒否に!
なぜ真面目な人ほど引きこもってしまうのか

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第22回】

 今回は、「引きこもり」やその家族らの間で、いま注目されている「脳内の精神・神経生物学」の観点から、サラリーマンが突然、会社に行けなくなる身体症状を検証してみたい。

会社の玄関前で身体が動かなくなり、
「引きこもり」に

 都内の大手メーカーに勤務していた30代の技術職員のハシモトさん(仮名)は、神奈川県にある郊外の一軒家で、妻と幼い息子の家族3人で暮らしていた。

 ある朝、いつものようにハシモトさんが、妻の運転する車で会社に送られてきたとき、異変は起きた。会社の玄関の手前で、身体がびくとも動かなくなってしまったのだ。

 以来、ハシモトさんは、会社の前までは出勤できるものの、玄関をくぐれないまま自宅に引き返して、出社できない状況が続いた。

 以前、本連載の第4回で紹介した、会社の門の前まで来ると、急に動悸が激しくなり、身持ちが悪くなって、自宅に引き返していた30代のヤマグチさん(仮名)と同じような症状だ。

 ヤマグチさんは、会議の席で、上司から厳しく叱責されたのをきっかけに、眠れない日々が続いていた。人事担当者の勧めで、病院の内科で診察を受けたものの、体には何も異常が見当たらず、そのまま会社を退職。その後も、求職活動をすることなく、引きこもり状態になった。

 ハシモトさんの場合は、4~5年くらい前から、うつ病を発症していたというが、その症状はなかなか回復しなかった。

 しかも、出社できなくなってから、すでに半年。有給休暇もすべて使い果たし、引きこもり状態になっていた。

 ハシモトさんの仕事ぶりは、非常に優秀で、扶養している家族もいる。会社としても、彼のことを必要な人材だと考え、ずっと我慢していた。とはいえ、不景気の厳しい経済状況の中で、かつての“家族主義”の時代のような余裕もない。これ以上休まれるのは限界だったという。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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