「幸せな人」と「幸せに見える人」の明らかな違い写真はイメージです Photo:PIXTA

どうしようもなく落ち込んだ気持ちを立て直そうと、ブランド物を買ったり、話題のスポットに行ってみたりする人はいないだろうか?しかし、そんな“売り物”になった「幸せ」を手に入れても、夜にはなかなか眠れないし、朝に気力は湧いてこない。どうしたら本当の幸せを手に入れられるのだろうか?※本稿は、加藤諦三『人生の勝者は捨てている』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

世間体を捨てれば
新しい人生の目的が持てる

 出世できなくて悩んでいるビジネスマン。

 あなたは、今の職場が好きですか?

 もし好きでないなら、出世はできません。

 出世できないのは、あなたの才能がないからではありません。嫌いな場所では才能を発揮できないからです。

 嫌いな職場を選んだことが間違い。嫌いな職場で出世を考えること自体が間違い。

 そこで、会社を捨てる。この困難を家族一致団結して乗り切る。

 そう言うと「それは、できない」と言う。

 自分の恥を出さず、家族にもばれず、いい方法を考えるから悩む。そのうえうまくいけば同情を得られる方法を考えるから悩む。

 悩んでいるビジネスマンは、会社も、いい生活も、世間体も捨てられないのである。

 そして、「これをしたい」というものがない。

 思いきってホームレスを3年すればエネルギーが湧いてくる。新しい視点が生まれる。世間の眼を切れば、新しい人生の目的が持てる。新しく人生を始められる。目的が持てれば悩みは消える。

 捨てるためには勇気がいる。

 捨てられないことを勇気の欠如という。

「私欲を捨て去ると、心をわずらわすことなく注意を払い、緊張せずに努力することができるようになるのです。リラックスすることは、何かに熱中することと矛盾するわけではありません」(注1)

 本当の幸せを知らない人が欲張りなのである。本当の幸せを知らない人が「幸せ」の幻想に飛びつく。

 本当に好きなものがない人が欲張りなのである。

偽りの幸せを追いかける
本当は不幸な人たち

 悩んでいる時は、捨てる。

 持っていると思っているものは幻想でしかない。持っていると思っているものは、実は持っていない。そんなものは「存在しない」。

 消費文化の中で振りまかれている「幸せ」などは、もともと存在しない。そんなものをどんなに持っても幸せにはなれない。

 今生きることに疲れていて、どうしても健康で幸せになれなければ、「自分の生き方はどこか間違っているのではないか?」と考えてみることである。

 消費文化が栄える中で、幸せは売り物になっている。「こうすれば幸せになる」と言う商品が沢山出てきている。

注1 David Seabury, How to Worry Successfully, Little Brown, and Company, 1936. 加藤諦三訳、『自分が強くなる生き方』、三笠書房、1996、180頁