エスカレーター校 クライシス#9Photo:PIXTA

法政大学は首都圏難関私立大学群「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大)の序列最下位。「そのうちMARCHより下の大学群と勝負するのではないか」との厳しい声もある。しかし、実は明治大に並べる力を持っている。特集『エスカレーター校 クライシス』(全15回予定)の#9では、MARCH、上智大学、学習院大学といった首都圏難関私立大を擁する学校法人について、偏差値など表の情報からは分からない「裏・成績表」を大公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

のし上がった明治に
法政だって並べる

 明治大学は2024年末、駿河台キャンパス(東京都千代田区)を大規模に整備し、国際日本学部や総合数理学部などがある中野キャンパス(東京都中野区)の全機能を10年後をめどに移転する計画を発表した。

 24年には法政大学も多摩キャンパス(東京都町田市)にある学内最大規模の経済学部について、30年をめどに市ケ谷キャンパス(東京都千代田区)に移転する計画を明らかにしている。これは移転のタイミングが30年というのがみそだ。

 学生が東京に一極集中するのを是正するために18年以降、東京23区内では大学の収容定員を増やせなくなっている。この規制が28年3月末に失効するのだ。

 現代の学生は学校選びにおいて、交通の便が良くて通いやすいことをより重視するようになった。キャンパスの立地が良いことは、受験人気に直結する。明治大、法政大のキャンパス移転はこの点で受験生を引き寄せるものとなる。

 明治大と法政大は共に首都圏難関私立大学群「MARCH」(明治大、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大)でくくられる。親世代の学生時代、MARCHの序列トップは立教大だった。しかし今のトップは明治大。交通の便の良い都心に高層キャンパスを造るなどして、現代の若者のハートをつかんでのし上がった。

 対して法政大はMARCH内序列最下位にとどまり、MARCHの他の大学と両方に合格した生徒の大半から蹴られている。「そのうちMARCHより下の大学群と勝負するのではないか」との厳しい声もある。しかし、偏差値など表の情報だけでなく、経営の実情まで知れば、明治大に並ぶところまではい上がることを期待する声が上がってもいいはずなのだ。

 次ページでは、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大、上智大学、学習院大学といった首都圏難関私立大を擁する7学校法人について、ダイヤモンド編集部が独自に作成した「裏・成績表」を大公開する。偏差値など表の情報からは分からない六つの指標で評価したもので、法政大が明治大に並べる理由はここにある。