
丸紅のグループ企業である四国の名門製紙、丸住製紙が民事再生法の適用を申請したことが分かった。負債総額は約590億円。新聞用紙や出版用紙など洋紙製造が主力の同社は、深刻な経営危機に陥っていた。名門製紙を追い込んだ「2つの致命傷」の中身とは?同社の再建を巡っては、コンサルや銀行、ファンドなども大混乱に陥っており、前途は多難だ。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
名門・丸住製紙は丸紅のグループ企業
民事再生法の適用申請で経営破綻
四国の名門製紙会社、丸住製紙(愛媛県四国中央市)が民事再生法の適用を申請したことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。負債総額は約590億円。
新聞用紙や出版用紙など洋紙製造が主力の丸住製紙は、深刻な経営不振にあえいできた。2023年11月期まで2期連続で100億円を超す巨額の最終赤字を計上し、24年11月期の純損益も赤字となったもようだ。
丸住製紙は、大手商社の丸紅が株式の32.2%を保有しており、丸紅の持ち分法適用会社である。だが、丸紅はグループ企業である丸住製紙への支援を見送る方針を早々に固めていた。
丸住製紙は2月に入り、売上高全体の7割を占める洋紙事業から撤退する方針を明らかにしていた。赤字垂れ流しが続く同事業は、デジタル化による紙需要の減少に加え原材料価格の高騰も重なり、収益改善の見通しが立たないためだ。
同社が特に強みを持っていたのは新聞用紙で、国内シェアは第4位。販売先の新聞各社には生産の停止を通告済みだ。
1919年創業の丸住製紙は大王製紙に次ぐ規模の四国に製造拠点をもつ名門製紙会社である。同社がなぜ経営破綻に追い込まれることになったのか。それには二つの致命的な理由があった。
また、有力コンサル会社が23年に策定した、事業再生計画案が失敗に終わったことで丸住製紙は深手を負った。なお、このコンサル会社とは契約を終え、丸住製紙は現在、別のコンサル会社と契約を結んでいるもようだ。再建に失敗したコンサル会社の実名とは。
丸住製紙の経営危機を巡る、大手銀行や地方銀行、コンサル、投資ファンド、地元関係者の思惑とは。さらに、民事再生法の適用を申請後、取引先の新聞各社や他の製紙会社にはどのような影響があるのか。そもそも丸住製紙の再生手続きは、順調に進むのか。次ページで詳しく解説する。