各社が抱える富裕層ビジネスの課題
「富裕層とは一体何処で巡り会えるのか?」
「富裕層への確実なアプローチ方法とは?」
最近、このような質問・相談を受けることが多くなっている。百貨店の外商、ハイジュエリーや高級車、プライベートジェットの販売会社、プライベートバンクなど、これまでも長く富裕層ビジネスに携わってきた企業でさえも常にこういった問題に頭を悩まされている。先日も富裕層ビジネスの成功に向けたテーマで講演を行ったが、そこに参加頂いた企業の関心事の6割以上は「富裕層へのアプローチ」をどうすべきかであった。
こういった課題を抱える多くの企業には、例えばこれまでも決して安くはない広告宣伝費を払いながら、しかしその費用対効果の低さに頭を悩ませているという現実がある。富裕層向け雑誌1つとってみても、その中には多くの富裕層を対象とした商材、サービスの広告が溢れており、どこまでそれが各社の戦略的な裏づけの中で掲載されているのかは疑問だ。
企業の多くは、ただ闇雲に高い広告費を払い続けているだけで、そこから目に見える成果を生み出すことができてはいないようである。一言断っておきたいが、ここでは富裕層向け雑誌そのものを否定しているわけではない。それを活用する側にも考え、解決していくべき課題があるという意味で述べていることをご理解いただきたい。
富裕層の人たちは、これまでにも様々な場面で多くの商材、サービスの売り込みを受けている。そして、彼らは一方的でしつこい売り込みに対して嫌気がさしている。そのような状況下、たとえ売る側にとっては初めてのアプローチであっても容易には聞く耳を持ってもらえないことの方が多く、富裕層の側からすると「またか…」というのが偽らざる心の声となっている。そして多くの場合、富裕層へ間違ったアプローチをしてしまった企業は、その提案に全く興味、関心を示してもらえないのである。
「たった1人の見込み客のための広告」を!
鍵は徹底的なコミュニケーション
では、富裕層への効果的なアプローチとして一体何が有効な手段となり得るのか。
これを考えていく上で非常に参考になる、ある富裕層ビジネスをされている経営者の方の印象深い一言をご紹介しよう。先ほどアプローチの1つの切り口として富裕層向けの雑誌広告に触れたが、それに関するものだ。