子どもが「ヤバい」を連発…日本人の読解力低下が止まらない理由最近では国語以外の教科でも問題自体が「読めない」子も多く、長文の問題が処理できずに時間切れになってしまうケースも増えている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

受験学習法・幼児教育のプロである和田秀樹さんは「みんな『普通に』日本語を読めるはずという前提が崩れてきている」と、日本人の読解力の低下に警鐘を鳴らします。和田さんの著書『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』(小学館)から抜粋して紹介します。

問題文が読めない
子どもたち

 近年、子どもたちの読解力が低下していると言われています。

 最近では国語以外の教科でも問題自体が「読めない」子も多く、長文の問題が処理できずに時間切れになってしまう子も増えています。

 子どもたちの読解力が低下していることについて私が初めて実感したのは、20年ほど前のことでした。

 当時、教科書の出版社から依頼を受けて、わかりやすい物理の学習参考書をつくっていたのですが、その際に複数の高校教師から「今の子どもは問題を読めなくなっている」という話を聞きました。それ以前の高校生であれば、物理の問題を解くときに解答がわからないとか、あるいは解答を読んでもわからないという話だったのが、「今どきの高校生は問題を読んでも、その文章の意味がわからない」というのです。

 それは物理に限ったことでなく、どの科目でも問題が少し複雑になった途端に問題文の意味が理解できずに解けなくなってしまうという生徒が増えているということでした。

 また、予備校の関係者たちからもこの頃から「最近の子どもはテストで問われていることから教えなければならず、指導するのが大変だ」という嘆きの声をよく聞くようになりました。