カワチ薬品(栃木県小山市、河内伸二社長)、杏林堂薬局(静岡県浜松市、渥美文昭社長)と言えば、共通点は600坪超の売場面積を持つ大型店舗の展開。そして、医薬品や化粧品といったドラッグストア(DgS)を代表するヘルス&ビューティケア(H&BC)カテゴリーに加え、食品スーパー(SM)顔負けの食品の品揃えを持つことだ。

 そのような彼らが現在、主力の大型店舗とともに出店している、あるいは、まもなく出店するのがH&BCに特化した店舗だ。以前から食品を絡め、郊外で強い集客力を発揮する店舗を展開してきた両社だけに、背景にどのような戦略があるのか注目が集まるところだ。

 まず、杏林堂薬局が2009年10月18日、本拠地・浜松にオープンさせたのが、杏林堂ヘルス&ビューティスペシャル南浅田店。都市計画に基づき、新しい住宅開発が行われている浜松市南部の工場跡地を整備したNSC(近隣型ショッピングセンター)核店舗として、同じ地元浜松に本部を構えるSM・遠鉄ストア(山口宏規社長)や、衣料専門店、100円ショップともに出店した。

 杏林堂の売場面積は約250坪。SCはオープンモール型で、建屋は各店舗とも独立しており、駐車場などを通じて行き来ができるようになっている。店内は、入るとすぐにビューティのプロモーションが目を引き、通常の杏林堂と何ら変わらない。しかし、明らかに異なるのが取扱商品カテゴリーだ。H&BCは通常どおりフルライン。雑貨もフルラインに近い。しかし調剤はなく、食品は一部の菓子、飲料、調味料は品揃えするが、日配品、酒類の取り扱いはない。

 また8月4日には、杏林堂はヘルス&ビューティスペシャル2号店となる泉店を浜松市内にオープンさせた。南浅田店と同じ遠鉄ストアとの共同出店だが、今回はSMと同じ建屋内で行き来できる、フード&ドラッグ形態だ。売場面積は約220坪。やはり調剤はない。

 ただ泉店では、日配品、酒類はないものの、グロサリーについては既存店に準じた展開だ。全国のこだわり商材を品揃えする遠鉄ストアの売場も面白いが、醤油などはアイテム数で杏林堂が2倍近く上回っており、圧巻だ。処方せん取り扱いはないものの薬剤師が常駐し、OTC第1類をしっかり訴求、カウンセリングの受け皿を担おうとしている。

カワチ薬品は調剤併設で
初のH&BC特化型を出店

 一方、カワチ薬品は9月30日、栃木県栃木市内にSMヨークベニマル(福島県郡山市、大高善興社長)とともに出店する栃木祝町店で、初のH&BC特化型店舗をオープンさせる。売場面積は約250坪。公道を挟んでベニマルとは向かい合っており、厳密には単独店舗に近い構造だ。至近距離にある下都賀総合病院を中心に処方せん応需が期待できることから、調剤併設となっている。

 調剤を除き、実質220坪ほどの面積で展開する物販は、H&BC、雑貨は既存店と全く変わらない。唯一異なるのが、食品の取り扱いが全くないという点だ。飲料や菓子といったコンビニエンス性を踏まえた品揃えも、ほとんどカットされている。

 調剤は、現在1日400枚といわれる下都賀総合病院からの総処方せん枚数のほとんどを、既存の門前薬局3店舗が受けており、どの程度獲得できるか。注目の物販は、初のノンフードタイプが、“食品のあるカワチ”になじんだ地元生活者に受け入れられるかどうかだ。

 カワチ薬品、杏林堂薬局とも、共同出店するSMの要望を受け入れるかたちでの出店だ。自分たちの本来の運営スタイルではないことは確かだが、今後もあるだろう共同出店を想定し、適応フォーマットを模索することになる。


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