大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」に市場は熱狂せず、薬局からは怨嗟の声Photo:医薬経済社
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 日本初の内臓脂肪減少薬と銘打って、今年4月8日に発売された大正製薬のダイレクトOTC薬「アライ」。運動などをせずに楽に痩せたいという、よこしまな心を抱く層からの期待はひと際高かったと仄聞する。しかし、「油の漏れ、便又は油を伴う放屁、脂肪便があらわれやすくなります」というアライに特有の事象が、普段は薬害以外に興味を示さないメディアにおいても盛んに報じられたこともあってか、かつての発毛剤「リアップ」が見せたような市場の熱狂は起きなかった。

 インターネットの検索キーワードの人気度を可視化するGoogleトレンドでアライと入力してみると、アライの発売が同社より予告された前後である今年3月3~9日をピークとして、翌4月7~13日にはその半分ほどのヤマが生じた。ところがその後は従前とほぼ変わらない“凪状態”に回帰し、今日に至っている。

 7月に同社より明らかにされた発売後3カ月間の売上高実績は、初年度販売計画の7割超に達したとのことだが、ビタミン剤のように長期にわたって飲み続けるタイプのクスリでないうえに、途中で服用を断念する人も多いと予想されている。それだけに、当面想定される国内ニーズの大半を「すでに食いつぶしたのではないか」(業界筋)との声も上がっているほどだ。いずれにせよ、来月に公表されると思われる発売後半年間の数値が、アライの将来性を強く示唆することになるだろう。