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「日本版ISA」、導入された場合の正しい利用法

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第154回】 2010年11月3日
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案外知られていない日本版ISA

 先日、ある個人投資家の集まりで話を聞いたのだが、2012年に導入が予定されている日本版ISAに関しては、投資に関心のある人達の集まりであるにもかかわらず、意外に知られていなかった。

 いわゆる、日本版ISAは、英国にあるIndivisual Savings Account(通称ISA)に範を取ったもので、当面予定されているのは以下のような制度だ。フィデリティ退職・投資教育研究所が10月26日に発表した「超高齢社会に向けた自助努力」と題するレポートを参考にご紹介しよう。

(1)満20歳以上の居住者が対象。
(2)口座開設は2012年から2014年までの3年間に限定。毎年、1口座づつ開設可能。
(3)1口座に100万円まで投資可能。値上がりした際の残高には制限無し。
(4)対象金融商品は上場株式と株式投資信託。
(5)口座内の金融商品から生ずる配当・分配金・譲渡益に対して10年間非課税。
(6)引き出しは随時可能。但し、引き出し分だけ非課税上限枠が減少。

 金額の多寡や制度の使い勝手はともかく、運用益に非課税で投資できる枠ができることは投資家にとって歓迎だが、いいことばかりではない。

 日本版ISAは、現在、本則の20%から10%に軽減されている投資商品の収益に対する課税を、2012年から20%に戻すこととセットになって導入される見込みなので、投資額の大きな投資家にとっては、全体として課税強化になる。政策としては、投資減税を撤回するに当たって、投資家から発生する不満の一部を逸らす「目くらまし」的なものである点が、いささか残念だ。

 一方、一年間で100万円を3年間、という投資額は、若いサラリーマンにとっては決して小さくない。当面の手持ち資金では、節税運用の枠を十分に活用できない人達が出る制度でもある。日本版ISAで投資可能な期間が3年で終わってしまうと、この時期を利用できなかった人達は可哀相だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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